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2019.03.20

転職コラム

転職前の疑問に回答!保育士さんの退職金事情。

保育士の退職金っていくらぐらいもらえるの?

今回は保育士さんが仕事を辞めたときに受け取れる退職金についてご説明します。仕事を辞めた後の生活や、次の仕事までの準備期間に退職金があると助かりますよね。しかしすべての保育士さんが退職金を受け取ることができるわけではありません。退職金がもらえるかどうか、金額の差などは、保育士としての雇用形態や就職先、勤続年数などによって変わります。今の職場での退職金の確認に、転職時のチェック用に、退職金のルールについて見ていきましょう。

退職金がもらえるかどうかは、まず就業先を確認しましょう。
・公立保育園の場合
公立保育園で働く保育士さんは地方公務員と同じ待遇になります。よって退職金制度が用意されており、地方公務員と同額の退職金を受け取ることができます。しかし支給対象が「常勤の保育士で勤続年数半年以上」となっており、働き始めて1年未満の方や、非常勤で働く保育士さんは対象外となります。
・私立保育園の場合
私立保育園で働く場合、保育士さんは一般企業の職員という扱いになります。一般企業の退職金の支給については法律で義務化されておらず、私立保育園の退職金有無は各保育園の「就業規則」によって異なります。一般企業の退職金は「常勤の職員で勤続3年以上」の方が対象になることが多いため、やはりパート・アルバイトなどの非常勤で働く保育士さんは対象外となります。私立保育園の多くは社会福祉法人が運営していますが、社会福祉法人運営の私立保育園はたいてい退職手当共済に加入しています。
上記のようにすべての保育士さん退職金を受け取れるとは限りません。保育園の運営は公立なのか私立なのか、私立の場合は退職金制度を設けているか、共済に加入しているか、がチェック項目になります。
ご紹介したように公立保育園と私立保育園それぞれで保育士さんの退職金に対する待遇は異なりますので、公立・私立を別々に見ていきます。
地方公務員の退職金の算定方法がそのまま適用されます。
「退職手当額=基本額 + 調整額」
 ・基本額=退職日給料月額 × 退職理由別・勤続年数別支給率
 ・調整額=調整月額のうちその額が多いものから60月分の額を合計した額
参考:総務省『地方公務員の退職手当制度について

基本となる退職日直前の給与月額に対して、勤務年数や退職理由によって定められる率をかけて計算されます。退職金の基本額は勤続年数が長いほど高くなりますが、支給額は退職理由によって変わります。
(例)「給料月額200,000円、勤続年数5年、自己都合退職」の場合の退職手当基本額
給与月額200,000円 ×支給率3.0=600,000円
「給料月額300,000円、勤続年数10年、自己都合退職」の場合の退職手当基本額
給与月額300,000円 ×支給率6.0=1,800,000円
調整額は勤務態度や功績が考慮されて加算されます。毎月の調整額が10,000円、勤続年数が5年の場合、10,000円×12ヵ月×5年=600,000円の調整額が基本額に上乗せされます。
平成28年度、地方公務員の退職手当は平均11,045,000円、自己都合で退職した地方公務員の退職手当は平均1,503,000円という結果が出ています。(全地方公共団体平均)
近年は株式会社や病院が運営する保育園が増えてきましたが、社会福祉法人運営の施設が多いです。そこで社会福祉法人運営の保育園が多く加入している「独立行政法人 福祉医療機構」の退職手当共済事業を例にご紹介します。
保育園が退職手当共済に加入していれば、そこで働く保育士さんは勤続年数に応じた退職金を受け取ることができます。退職金の支給は勤続1年以上の正規職員の保育士さんとなります。
福祉医療機構のホームページでは、自分で退職手当支給額を計算することができます。
参考:「WAM独立行政法人 福祉医療機構」退職手当金計算シミュレーション
加入年月~退職年月が勤続年数に該当します。計算基礎額は直近6ヵ月の給料月額を平均した額です。
(例)
「6ヵ月の平均給料月額20万円、勤続年数5年、自己都合退職」の場合の退職金シミュレーション⇒495,900円
「6ヵ月の平均給料月額30万円、勤続年数10年、自己都合退職」の場合の退職金シミュレーション⇒1,620,000円
上記のシミュレーションは一定の条件下で計算したもので、勤務状況などによって変動する可能性がありますので、あくまで目安です。同じ勤続年数・給料月額で試算すると、公立保育園の退職手当の方がやや多くなる傾向にあります。
公立保育園の場合は、退職日から1ヵ月以内に支払われます。私立保育園で、福祉医療機構退職手当共済の場合は「退職手当請求書が福祉医療機構に届いてから」約2ヵ月となります。3月末など退職者が多いシーズンは福祉医療機構の事務局も混雑し、更に時間がかかる可能性があります。
転職時に退職手当を意識するのであれば、公立保育園なのか私立保育園なのか、私立保育園であれば退職金制度があるか、共済に加入しているか、などを確認するとよいでしょう。退職手当が出る場合は、基本的に勤続年数に応じて受け取ることができる額も増えますので、退職手当の有無だけでなく長く働くことができる施設なのかどうかも合わせて確認したいですね。
■監修/新谷ますみ
保育園運営本部で勤務。短大の幼児教育学科を卒業し、保育士・幼稚園教諭資格を取得。結婚後も仕事を続け、出産を機に一度退職。子育てがひと段落して、職場復帰。大切にしている言葉は「失敗しても、じっくり待つ」。

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