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2020.02.19

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日本語だけで大丈夫? 外国人の保護者さん・園児さんへの接し方

日本語だけで大丈夫? 外国人の保護者さん・園児さんへの接し方

最近、保育園では外国人保護者・園児の受け入れが増えています。また、出身地域や国についても、アジアだけでななく、東南アジア・欧米・南米など、国や言語もさまざまです。「外国語が苦手だから不安…」そんな風に感じる保育士さんもいらっしゃるかもしれません。そこで今回は、外国人保護者・園児さんへの保育園・保育士さんの対応について解説します。

法務省の調査によると、2018年の在留外国人数は、過去最多の約260万人となっています。この中には、小さなお子さんと一緒に日本へやってきた方や日本へ来てから結婚して子育てをされている方も含まれています。在留外国人の増加とともに、日本で保育園を利用する外国人の方々も確実に増えています。保育士さんにとっては、今後ますます職場の保育園で外国人と接する機会が増えていくことになるでしょう。
外国人のお子さんには、その国の言葉をマスターして接する必要があるのかというと、答えは「NO」です。勤務先である園の規則が最優先ですが、基本的にはすべての園児に対して日本語で接すればOKです。というのも、インターナショナルスクールという選択肢もあるなかで、お子さんの日本語学習も兼ねて保育園を選ぶ外国人保護者がほとんどだからです。また、小さなお子さんは学習能力が高いため、自然と言葉を覚えます。お友だちや保育士さんとは日本語で、保護者の方がお迎えに来られると英語や中国語に切り替えて話す園児もいます。無理に日本語でのコミュニケーションを強要するのではなく、徐々に日本の保育園生活に慣れていけるようサポートしてあげれば問題ありません。基本的にこども園や保育園では5歳までの小さなお子さんの保育となりますから、たとえ日本人であっても日本語をすべて理解できているわけではありません。日本人だから、外国人だからといった違いはなく、身振り手振りを添えながらいつもどおりの保育を分け隔てなくすることが大事なのです。
園児さんへの言葉は、日本語で問題ありません。しかし、一方では日本語が得意でない保護者の方については配慮が必要です。お子さんの体調変化や持参いただくものなどは、確実にお伝えすべきです。「なんとなく意思疎通できた気がする」では、伝わっていない場合もあるかもしれません。下記の要領で確実にコミュニケーションしましょう。
・積極的にスマートフォンやタブレットの翻訳ツールを使う
・お子さんの持ち物は、理解しやすいように現物を見せながら説明する
・プリントは日本語版以外に翻訳ツール等で翻訳したものも用意する
日本に来たばかりで不安を感じている保護者の方には、連絡事項以外にも、保育園での子どもたちの様子をお伝えすると安心するだけでなく、とても喜んでいただけます。
ここからはより注意したい点になります。日常的な仕草や振る舞いが、外国人にとっては不快感を与えてしまうことがあります。日本での生活が長い外国人であれば文化の違いに対する理解は深まっているかもしれませんが、来日からの浅い方々に応対する際には、余裕があれば下記のことに気を付けてください。
・目線を頻繁にそらさない
・ボディランゲージを多用しない
日本では、会話の最中は適度に目線を外し、相手の目を凝視することを避けることが多いですね。しかし、英語圏をはじめとした海外ではアイコンタクトをしっかり取るのが常識と言われています。頻繁に視線をそらす行為は、相手を不安にさせてしまうかもしれません。また、ボディランゲージは、国によってその意味合いがまったく真逆になってしまうこともあります。首をかしげたり腕を組んだりなど、不用意にボディランゲージを使用しない方が無難なのです。さらに、頭をなでられることを不快に感じる国もありますから、不用意な接触には気をつけておきましょう。
外国人の子どもたちを受け入れるにあたって、差別的にならない対応はもちろん、宗教・文化・習慣の理解など、園全体での配慮が必要となります。たとえば、宗教上の信仰で食べられないものや食事マナーが違うこともあります。宗教の違いは日本でもありますが、ご家庭ごとにどこまで対応を変えるかは、園の方針次第です。日本のルールを無理強いするとトラブルに発展してしまう恐れがありますが、かといって全てのご家庭の要望を受け入れるのは難しいこと。これから外国人園児を受け入れようとする保育園では、保護者の方を含めて、事前にルールの線引きをしっかり設けておくことが重要です。
グローバル化が進む中で、外国人園児の入園は今後も増えていくと考えられています。園児さんの保育については、外国人だからといって特別扱いする必要はありませんが、その保護者への対応には知識と気遣いが求められます。英語や中国語が話せる保育士さんは現場でも貴重な即戦力となることでしょう。でも、外国語は保育士さんにとって必須のスキルではありません。工夫次第でコミュニケーションは十分に可能ですので、自信を持って保育のプロとして対応してくださいね。
■監修/新谷ますみ
保育園運営本部で勤務。短大の幼児教育学科を卒業し、保育士・幼稚園教諭資格を取得。結婚後も仕事を続け、出産を機に一度退職。子育てがひと段落して、職場復帰。大切にしている言葉は「失敗しても、じっくり待つ」。

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