SPECIAL

2022.01.26

転職コラム

最近よく耳にする「リトミック」、その方法と効果とは?

最近よく耳にする「リトミック」、その方法と効果とは?

街の音楽教室や幼児教室などで「リトミック教室開講」なんて告知を見かけたことがありませんか。これはスイスの作曲家であり音楽教育家でもあったエミール・ジャック・ダルクローズさんが20世紀初頭に開発した音楽教育の手法。当初は「ダルクローズ音楽教育法」と呼ばれていたようですが、いまは「リトミック」として保育現場にも広がっていますね。「でも詳しく知らない」という人のために、今回はその手法や効果などを紹介します。

リトミックは、以下の3つの柱で構成されています。
(1)ソルフェージュ(声と動きの音感教育)
(2)リズミックムーブメント(身体運動を伴うリズム・表現教育)
(3)インプロヴィゼイション(即興演奏・即興表現による表現教育)
生理学的・心理学的・芸術的など、様々な視点からの学際的な基盤に基づく3要素で、心身の諸感覚機能や芸術的想像力を高め、精神と身体の調和を目指し、人間形成に資することを狙いとした心身二元論的な音楽教育法…なんて、難しい解説が添えられていたりします。私たちの知っている日本語に訳すと、(1)「ソルフェージュ」は音楽に合わせて動き、音をキャッチする。(2)「リズミックムーブメント」は全身を使ってリズムを取りながら、歌などで音程をつかむ。(3)「インプロヴィゼイション」は、(1)(2)の体験をもとに、自由に音楽を表現する。で、いろんな学問の観点から考え抜かれたこの3つを合わせて子どものリズム感や想像力を養い、ココロとカラダの健全な成長、人としての豊かな成長を促す。そんな感じでしょうか。
まず1つ目は「コミュニケーション能力が向上する」こと。先生や友だちと一緒に表現を行うことで、みんなで合わせることの楽しさを知り、協調性が育まれるといわれています。2つ目は「基礎体力がつく」こと。リズムに合わせて体操や手遊びを行うことで、反射神経や身体能力が鍛えられます。運動センスの向上にもつながり、スキップの習得にも役立つそうですよ。そして3つ目は「集中力を高められる」こと。音楽の変化に合わせて体を動かすには、集中して音を聞くことが不可欠です。さらに音のイメージを声や体の動きで表現するには、物事を順序立てて考えることも必要。ひとつの物事や行動に集中する力とともに、集中して考える力も養われるそうです。
0~1歳は、先生が音楽に合わせて、抱いている子どもの体を揺すったり、顔や手に触れたりします。ベビーマッサージのようなスキンシップがメインで「ベビーリトミック」と呼ばれます。1歳前後になると自然に真似をしはじめ、座る・歩くなどへ運動が広がります。2~3歳では、みんなと一緒に身体を動かすことが楽しくなってきます。動きを真似るだけでなく、手遊びを交えたり、楽器を使ったり。さらにことばでの意思疎通も発達し、自発的に表現することも増える時期です。一人でダンスをしたり歌ったり、あとは友だちとグループをつくって発表もできるようになります。4~5歳になると、音楽に合わせて自由に動くことができ、歌や動きの中で自分のアイディアを表現するようになります。さらにしっかりリズムを取れるようになり、動きや楽器遊びがより音楽的にもなります。なのでこの時期には「3つ打ち」と「7つ打ち」といった小フレーズを意識して、四分音符や四分休符を感じながら演奏するという手法を取り入れることもあります。
「リトミック研究センター」という特定非営利活動法人が、保育園・幼稚園の指導者養成コースなどのプログラムを開講しています。ここで学べば認定資格も取得できます。もちろん他にも教育機関はありますし、すでに「リトミック」を導入している保育園で実践的に学ぶという方法もあります。私たち『ほいとも』は常時4000件の求人を取り扱っていますが、もちろんその中には「リトミック」を積極的に取り入れている園もあります。小さな頃からピアノ教室に通っていた、音大卒、とにかく音楽が好き、音楽教育に興味があるという人は、ぜひ一度、相談にきてくださいね。
■監修/新谷ますみ
保育園運営本部で勤務。短大の幼児教育学科を卒業し、保育士・幼稚園教諭資格を取得。結婚後も仕事を続け、出産を機に一度退職。子育てがひと段落して、職場復帰。大切にしている言葉は「失敗しても、じっくり待つ」。

音楽が得意な方もそうでない方も!

Search

Monthly Archive

一覧ページへ