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2022.05.25

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6月4日は虫歯予防の日。保育園での歯磨き指導は?

6月4日は虫歯予防の日。保育園での歯磨き指導の実態は?

6月4日は「ムシ」という語呂合わせから、虫歯予防の日とされています。これに合わせて厚労省・文科省・日本歯科学会などが、6月4日〜10日を「歯と口の健康週間」とし、今年は「いただきます人生100年歯と共に」というスローガンのもと、口腔ケアの啓発を行っています。「100歳まで歯と共に」といっても、やはり大切なのは小さな頃からの歯磨き習慣。そこで今回は保育園での歯磨き指導について、という話題です。

1980年頃、ほとんどの子どもに虫歯の1本くらいはありました。もしかするとみなさんも歯科検診で引っかかって、虫歯治療をしたことがあるかもしれませんね。それがここ最近、激減しているんです。例えば虫歯がある幼稚園児の割合は、2009年/46.50%、2014年/38.46%、2019年/31.16%…という具合。文科省のデータは2019年までしかないので、いまはもっと減っているかもしれません。少なくとも10人中7人は「虫歯が1本もない」ということです。
ではなぜ、こんなに急に減ってきたのか。「口移しで食べ物を与えなくなり、親から子への虫歯菌の感染が減った」といった説もありますが、実は1980年代から公立の小中学校が虫歯予防指導に力を入れるようになり、それが保育園・幼稚園にまで波及したのが大きいようです。それまで幼児の歯磨きは「乳歯は生え代わるから虫歯でもいい」という間違った思い込みで疎かにされていましたが、育児雑誌などでは「親の仕上げ磨き」が推奨されるようになりました。さらにフッ素配合の歯磨き粉や歯科医でのフッ素塗布が普及したこと、お菓子に虫歯になりにくい人工甘味料が使われるようになったことも激減の一因だといわれています。
現在、ほとんどの保育園が3歳くらいから歯磨きを行っています。歯が生える時期は個人差も大きく、「何歳から歯磨き指導をしてくれるのか」と心配する保護者もいるようですが、概ね3歳を目安に、昼食・おやつ後に都度行われています。また歯磨き指導は歯の大切さを学び、歯磨きを習慣づけるという目的もあります。そのため各園では、歌を取り入れる、絵本を活用する、クイズ形式で…といった工夫を凝らしているようです。
そして先生による仕上げ磨きについては「スクラッピング法」という手法が推奨されています。これは歯ブラシの先端だけを使う磨き方で、(1)歯ブラシの毛先を歯の表面に直角に当てて毛先が隙間に入るように押し込む、(2)毛先を大きく動かさず1回で1~2本ずつ程度磨けるよう小刻みに動かす、(3)毛先が広がるような強い力ではなく軽くあてて動かすのがポイントです。これ、子どものいる人は、自宅での仕上げ磨きにも役立ちそうですね。
子どもたちは歯を磨く際に大きな口を開けたり、つい声を出したりしてしまいます。だから飛沫が飛びやすく、感染防止の指導も必要になってきます。さらに仕上げ磨きは保育士が子どもの口腔内に触れる可能性が大きく、こちらも十分な対策が必要です。
そんな中、全国保育園保健師看護師連絡会からは、こんなお達しが出されています。◆歯磨きの際には子ども同士の距離を開け、場所が密集しないように。◆室内は換気を徹底。◆歯磨き中は私語をしないよう、口を閉じて磨くよう指導。◆仕上げ磨きは対面ではなく、唾液のしぶきが飛ばない場所から。◆職員はマスクを着用し、必要時にはめがねやゴーグルの着用も検討。◆歯磨き後は手洗い場や周囲を消毒。◆使用した歯ブラシやコップは、水道水で洗浄後に乾燥…。感染状況が少し落ち着きつつあるとはいえ、まだまだ注意は必要ですね。
みなさんの園ではどんな歯磨き指導を行っていますか。「虫歯予防の日」をきっかけに、その対策が十分かどうか、一度見直してみませんか。また転職・就職を考えている人は、志望する園がどんな指導を行っているか、ちょっと気にしてみませんか。
■監修/新谷ますみ
保育園運営本部で勤務。短大の幼児教育学科を卒業し、保育士・幼稚園教諭資格を取得。結婚後も仕事を続け、出産を機に一度退職。子育てがひと段落して、職場復帰。大切にしている言葉は「失敗しても、じっくり待つ」。

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