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2022.07.13

転職コラム

転職のときは園児の「定員割れ」にも気をつけて!

これからの転職は、園児の「定員割れ」にも気をつけて!

ついこの間まで、待機児童の多さが社会問題になっていました。人気の園には希望者が殺到して倍率が高くなる。申し込みの際は第5希望まで書かされる。そんな状況も記憶に新しいところですね。しかしいま保育の現場では、逆に園児の定員割れが話題になっています。園児が少なくなれば入園しやすくなるかもしれませんが、働く保育士にとっては死活問題。転職を考える際にも、気をつけないといけませんよ。

待機児童の問題を受けて、国や自治体は新規開園を推し進めてきました。しかしここに来て保育ニーズが減少し、園児が集まらないという現象が起きています。では保育ニーズ減少の理由は何か。まず乳幼児の数自体が減っていることが挙げられます。2016年に初めて100万人を割った出生数が2021年には81万人にまで減り、今年は80万人を下回ると見られています。もちろん少子化は全国的な傾向ですが、特に若い世代の人口が少ない地域では0に〜2歳児が極端に減っているところもあります。
これに輪をかけたのが感染症です。在宅勤務が広がる中で自宅保育をする家庭が増えたり、感染を懸念して子どもを保育園に通わせることをやめたり…。こうした影響も小さくないといわれています。
みなさん知っていると思いますが、保育士の人数には園児の数による基準があります。0歳なら園児3人に保育士1人、1〜2歳なら6人に1人…という具合に。例えば1〜2歳児の定員8人という園では、1〜2歳クラスの保育士が2人必要です。でも園児が5人に減ると保育士も1人でよくなります。もちろん2人のままでもいいんですが、園にも減らさざるを得ない事情があります。それが国からの補助金。補助金も園児の数によって決まりますので、定員を割ると減額され、余剰の保育士を雇っていられなくなるのです。こうなると園は、パート保育士のシフトを削ったり、次年度の保育士の採用を取りやめたりといった対策を取るようになります。場合によっては経営が行き詰まって閉園というケースも出てきます。保育士にとっては収入が下がったり、長く働き続けることができなくなったり、とても深刻な問題です。
0〜2歳児のみを預かる小規模園では、園児の確保に苦戦しているケースが多いようです。これまでは5歳まで預けられる認可保育園や認定こども園に入れなかったから、仕方なく3歳になるまでは小規模園でという保護者が多くいました。でも認可園などの0〜2歳児の枠に空きがあれば、「最初からそっちに預けたい」と考える保護者が増えてきます。また企業主導型保育園でも同じような傾向が見られます。公立の保育園や認可園に空きがあるなら「そちらに転園したい」となり、やはり園児の確保が難しくなっています。
子どもたち一人ひとりとしっかり向き合える小規模園や企業主導型は、保育士の就職・転職先としても人気があります。でもこれからは「自分はなぜ、その園で働きたいのか」「保育士として本当に目指すところはどこか」などをあらためて考え、冷静に検討する必要があると思います。
まず転職したいと思った保育園の定員をチェックしましょう。これは園のHPや求人情報に記載されていることが多いので、すぐに分かると思います。次はその定員に対する現在の園児数や、定員に満たない場合は今後、園児が増える可能性があるかなどを確認。これはあまり公表されていないので、見学の際に自分の目で確かめるか、面接で質問するしかありませんね。
ちなみに常時4500件以上の保育士求人を掲載している『ほいとも』では、求人依頼のあった園を必ず直接訪問しています。だから園の方針、職場の雰囲気、保育士の年齢層、そしてもちろん園児数の状況もしっかり把握。これらきちんと伝えながら、転職先を案内しています。
■監修/新谷ますみ
保育園運営本部で勤務。短大の幼児教育学科を卒業し、保育士・幼稚園教諭資格を取得。結婚後も仕事を続け、出産を機に一度退職。子育てがひと段落して、職場復帰。大切にしている言葉は「失敗しても、じっくり待つ」。

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