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2022.08.03

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おおきなくりの、きのしたで〜♪ これも『コダーイ保育』です。

おおきなくりの、きのしたで〜♪ これも『コダーイ保育』です。

『コダーイ保育』はハンガリーの音楽家、コダーイ・ゾルターンが提唱した音楽教育です。音楽教育用語としてコダーイシステム、コダーイアプローチとも呼ばれたりしますが、同じく音楽を用いる「リトミック」ほど知名度は高くありません。でも実は取り入れている保育園・幼稚園はたくさんあります。コダーイの考え方を知ることで、保育の幅や楽しさを広げることができるかもしれませんよ。

1882年、ハンガリーの音楽家のもとに生まれた彼は、幼い頃からハンガリーの民謡や欧州各地の音楽に触れながら育ちました。自分でもバイオリンを習ったり、聖歌隊で歌ったりし、大学入学と同時にハンガリー王立音楽院(現リスト・フェレンツ音楽大学)にも通うようになります。そこでピアノ、バイオリン、チェロなどを学び、同時に大学では哲学と文学を専攻。その後、作曲家として活躍しながら、ハンガリー民謡の収集と音楽教育に傾倒していきます。
1925年には2曲の児童向け合唱曲を作曲。1929年には論文「子どもの合唱」で学校教育における音楽の大切さを説きました。「感受性が豊かな子どものうちに質のよい音楽体験をしないと、生涯にわたって音楽の恩恵を受けることができなくなる」と考え、学校が質の高い音楽教育を行うのは義務だと訴えました。しかし当時のハンガリーでは、音楽教育は限られた上流階級だけのもので、彼の主張はなかなか受け入れられなかったそうです。
コダーイは「音楽は音楽能力だけでなく、子どもたちの能力を多面的に育てるためのもの」と考えました。さらに音楽を「第二の母国語」と定義し、まず自国のわらべうたから音楽教育をはじめようと説いています。また「歌うこと」に重点を置くのも、コダーイ保育の特徴です。歌いながらリズムを取ったり、体を動かしたりもしますが、リトミックのようにピアノの伴奏をつけたりしません。ピアノの音に頼らず、自分で声を出して音程をつくり、正しい音感を養うことを目的としていますので、基本的にすべてアカペラで行います。
もちろん自国以外の歌を否定するものではありません。各国の伝統と文化の象徴でもあるわらべうたは、母国語を学ぶ教材にも最適。わらべうたを歌うことで、無意識に母国語や母国の音楽の特徴を学ぶことができます。その上で外国の音楽にも触れていこうというのが、コダーイの考えです。
「ウチは特にコダーイ保育を導入していません」という園でも、必ず保育にわらべうたを取り入れているはずです。わらべうたは歌うだけでなく、手遊びや鬼ごっこ、縄跳びなどと組み合わせることができます。例えば体を動かすわらべうたには「だるまさん」「いとまき」「大きな栗の木の下で」などがあります。「あんたがたどこさ」や「いちじくにんじん」は鞠つきの定番ソングですし、じゃんけん遊びなら「お寺の和尚さん」、鬼ごっこなら「あぶくたった、にえたった」や「かごめかごめ」ですね。
保育士さんはもちろんですが、それ以外の人も年齢に関わらず、きっとぜんぶ歌えるはず。そして「大きな栗の木の下で」のフリもきっと覚えているはず。わらべうたは、それほど日本人に浸透しているんです。しかもいろんな遊びに応用でき、子どもの発達に合わせることもできます。
もしみなさんのクラスで、わらべうたにピアノの伴奏をつけていたりしたら、コダーイの考えに従って、一度それをアカペラにしてみませんか。これならピアノが苦手な先生でも大丈夫。子どもたちも歌うことの楽しさ、日本語の面白さにもっと気づくかもしれませんよ。
さらにコダーイの考えを知りたいという人は「コダーイ芸術教育研究所」というところが、多くの関連書籍を出していますので、ぜひ書店やAmazonなどでチェックしてみてください。また私たち『ほいとも』でも、転職先としてコダーイ保育を積極導入している園などを紹介することもできますよ。
■監修/新谷ますみ
保育園運営本部で勤務。短大の幼児教育学科を卒業し、保育士・幼稚園教諭資格を取得。結婚後も仕事を続け、出産を機に一度退職。子育てがひと段落して、職場復帰。大切にしている言葉は「失敗しても、じっくり待つ」。

いろんな保育に挑戦してみたいなら!