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2022.11.02

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保育士の『燃え尽き症候群』を防ぐメンタルヘルスマネジメント

『燃え尽き症候群』にならないためのメンタルヘルスマネジメント

「最近、疲れが取れにくい」「頑張りたいけどやる気が湧かない」「1日が長く感じる」「他の先生や園児と顔を合わせたくない日がある」…。こんな状況・気持ちになったことがあるという人は『燃え尽き症候群(バーンアウト・シンドローム)』の入り口にいるかもしれません。「もう仕事を続けていけない」となってしまう前に、しっかりと症状を理解し、予防対策を心がけましょう。

例えばオリンピックで金メダルを獲得した選手が、「次の目標が見えない」と競技意欲をなくしてしまう状態を『燃え尽き症候群』といったりします。それまで一つのことに打ち込んできた人が、心身の疲れなどから燃え尽きたように気力を失うことを指します。でもこれ、スポーツ選手だけの話ではないのです。職業でいうと、医師・看護師・介護士・教師などの「対人援助職」に従事する人も、『燃え尽き症候群』になりやすいといわれます。もちろん保育士や幼稚園教諭もここに含まれます。人のために尽くすことを優先し、自分のことを後回しにしてしまう。結果的に自分でも気づかないうちに心身を消耗し、燃え尽きてしまうようです。
中でも保育士は、その特殊な仕事環境が影響しているといわれます。動きを予想できない園児たちを対象としているため「物事が予定通りに進まない」。仕事の成果を数字として表すことが難しく「自信がつきにくい」。会社などに比べて関わる人が少なく「閉鎖空間になりやすい」。子どもたちや他の先生方のことを考えると「年度末以外は辞めにくい」…。きっとみなさんも思い当たる節がありますよね。
「朝、起きられない」「ちょっとしたことでイライラする」「対人関係を避けたくなる」といった状況から、さらに深刻になると「ミスが増える」「仕事に行きたくない」「アルコール量が増える」「免疫力が低下して風邪をひきやすくなる」などの症状に発展します。
『燃え尽き症候群』は、1974年にアメリカの医師で精神心理学者でもあるフロイデンバーガーが提唱した用語です。それから半世紀近く経ち、ついに2022年1月1日に世界保健機関(WHO)が新たな業務上の疾病として認定するに至りました。日本ではまだ病気として承認されていませんが、症状がひどくなると、うつ病や強迫性障害などの精神疾患につながる危険性も指摘されています。そして2010年以降、「保育士の1〜2割が『燃え尽き症候群』に陥っている可能性がある」という調査結果もあります。「私は性格的に大丈夫」と考えず、ぜひいま一度、自分を見つめ直してください。
「疲れやすい」「意欲が湧かない」と感じたら、「アルコールが増える」「仕事を続けられない」といった状況になる前に予防を考えましょう。まず大切なのは生活習慣を整えることです。例えば、毎日できるだけ同じ時間に寝て起きる。7~8時間の睡眠を心がける。寝る前にはゆっくりお風呂に浸かり血行を良くする。ベッドに入ってからはスマホなどを見ない。朝起きたら日光を浴びて体内時計をリセットする…。規則正しく健康的な生活を送ると、心身の疲れも溜まりにくくなります。これならすぐにできそうですよね。
また『燃え尽き症候群』は職場環境自体が原因になっていることもあります。長時間の残業や頻繁な休日出勤などは、特に疲労やストレスの蓄積につながりやすいそうです。そんなときは「思い切って休む」というのも一手。「周りに迷惑をかけるから…」とためらう人は、そもそも燃え尽きやすい人かもしれません。周りよりも自分が大事。きちんと事情を話して有給休暇の取得や短期的な休職を申し出るのも労働者の権利ですから。ただしストレス発散に旅行や買い物をするのは、あまり効果がないとされています。一時的に本質から目をそらすだけで、根本的な解決にならないようなので、注意しましょうね。
日常的にパワハラが行われている。園が完全にブラック。園長の保育方針と合わない。こうした状況はもう自分では変えられません。しかし自分が身を置く場なら変えられます。つまり転職です。いますぐの退職が難しい場合は、「年度末に辞めます宣言」も有効な手段。期限を切ることでストレスを軽減することができますから。
もちろん転職先には、これまでのようなストレスのない職場を選ぶ必要があります。「でもどうやってそんな園を探せばいいの?」という人は、ぜひ私たち『ほいとも』に相談を!専任のキャリアアドバイザーがいまの悩みをしっかり受け止め、問題を解決できる職場を一緒に探します。
■監修/新谷ますみ
保育園運営本部で勤務。短大の幼児教育学科を卒業し、保育士・幼稚園教諭資格を取得。結婚後も仕事を続け、出産を機に一度退職。子育てがひと段落して、職場復帰。大切にしている言葉は「失敗しても、じっくり待つ」。

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