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2023.05.17

転職コラム

幼稚園教諭の免許だけで保育園で働く?

幼稚園教諭の免許だけで保育園で働ける

「保育園で働くためには、保育士免許が絶対に必要でしょ!」…そう思っている方が多いかもしれませんね。でも実はコレ、「絶対」ではないんです。「あっ、こども園でなら働けるってことね!」…というのも早合点。幼稚園教諭・小学校教諭・養護教諭免許を持っていれば、保育士資格がなくても、本当に認可保育園で働ける可能性があるのです。

2016年(平成28年)2月18日、厚生労働省から都道府県知事と指定市・中核市の市長宛に一通の書面が出されました。タイトルは『保育所等における保育士配置に係る特例について(通知)』というものです。「近年、待機児童対策として保育の受け皿拡大を大幅に進めている状況下で、保育士の有効求人倍率は年々高くなるなど、保育の担い手の確保は喫緊の課題であり…」と始まる文面で、要は「保育士が足らないので、特例を設けて何とかしましょう」という内容。その特例の一つがコチラです。

◆幼稚園教諭及び小学校教諭並びに養護教諭の活用に係る特例(基準第95条関係) 
基準第33条第2項に規定する保育士の数の算定については、幼稚園教諭若しくは小学校教諭又は養護教諭(以下「幼稚園教諭等」という)の普通免許状を有する者を、保育士とみなすことができることとする。 

保育士の配置人数は「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準・第33条第2項」で、例えば4・5歳児なら30人に対して1人というように決められていますが、幼稚園・小学校・養護教諭を「保育士」の人数に入れてもいい、というのです。かなり回りくどい言い方ですが、どうしても保育士の人数が足らなければ、保育士資格を持っていない「幼稚園教諭等」を雇ってもいいよ、ということですね。
この特例には次のような条件がついています。
◆保育士の人数が基準の3分2以上配置されていること
◆幼稚園教諭は3歳以上児、小学校教諭は5歳児を中心的に保育することが望ましい
◆保育に従事したことのない幼稚園教諭等には、必要な研修の受講を促すこと
つまり、誰でもズクに、無制限に保育士になれるというワケではありません。例えば4・5歳児が90人の園なら、そこに3人の担当保育士が必要になります。2人が保育士資格者なら、もう1人だけは「幼稚園教諭等」でもいいということなので、人数的には狭き門かもしれません。さらに0〜2歳児の担当ではもっと可能性が低くなりそうです。また実施については「各地域の事情を勘案して、省令の規定範囲内で限定的に実施できる」という一文が添えられていて、最終的には各自治体の判断に委ねられています。
国は自治体任せですが『ほいとも』は、通知の宛先が「都道府県知事、指定都市市長、中核市市長」ということなので、まず大阪・兵庫・京都の県庁所在市に直に確認しました。保育園を統括する部署に「幼稚園・小学校・養護教諭の免許のみで保育園で勤務できますか?」と質問した結果、大阪市・神戸市・京都市ともに「国の個別方針に従って、幼稚園・小学校・養護教諭の保育士配置加算(1)を取ることができます」という回答。つまり三市とも「働ける可能性アリ」ということです。ただ京都市では「市指定の子育て支援員の資格取得講座の受講」という条件があり、期間も「2025年(令和6年)度末まで」となっています。
三市以外の自治体でも、それぞれ個別のルールがあります。また幼稚園と保育園では接する子どもも仕事内容も異なります。「自分は保育園の先生に向いているのか」なども含め、知りたいこと・分からないことがあれば、ぜひ一度相談してくださいね。さらに『ほいとも』では「こども園で働くために必要な幼稚園教諭免許について」「保育士・幼稚園教諭の両方を持っている人の働き方について」の記事も配信しています。ぜひコチラも見てみてください。

【ほいともコラム】
認定こども園で勤務するために必要な『幼稚園教諭免許』資格について
保育士と幼稚園教諭、両資格を持っていると働くチャンスが拡大!
■監修/新谷ますみ
保育園運営本部で勤務。短大の幼児教育学科を卒業し、保育士・幼稚園教諭資格を取得。結婚後も仕事を続け、出産を機に一度退職。子育てがひと段落して、職場復帰。大切にしている言葉は「失敗しても、じっくり待つ」。

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