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2023.12.06

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保育の現場でも「布おむつ」の良さは見直されています!

いま保育現場でも「布おむつ」の良さが見直されています!

テレビでは毎日のように「紙おむつ」のCMを目にしますね。パンツタイプ、横漏れ防止、おしっこサインなど日々、機能も進化しています。そんな紙おむつが登場するまで、日本で使用されていたのが「布おむつ」です。見たことがないという人はもちろん、知らないという人もいるかもしれません。でもいま、その布おむつの良さが見直され、積極的に布おむつを使う保育園が注目されています。

紙おむつは1940年代にスウェーデンで考案されたそうです。1950年代には日本でも発売されましたが、当時は長方形の紙を重ねておむつカバーと一緒に使うような形状でした。いまのようなサイドをテープで止めるタイプが登場したのは1977年。これはアメリカからの輸入品でしたが、すぐに日本製の「テープ式紙おむつ」も発売されました。1985年以降は薄型・高吸水性の商品が次々に開発され一気に普及したので、「私は布おむつで育てられた」という人はもう珍しいかもしれませんね。
一方、紙おむつが出回るまで広く使われていたのが布おむつです。その歴史は江戸時代に遡り、包む布を意味する大和言葉「襁褓(むつき)」が語源だとされています。現在はナイロン製のものもありますが、基本的に素材は綿。輪っか状に縫った長方形の布を折りたたんでおしりにあて、おむつカバーで固定します。かつては赤ちゃんのいる家には毎日、何枚もの布おむつが干されているのが日常風景でした。「昔の話でしょ」と思うかもしれませんが、実はいま、そんな布おむつの良さが見直されてきています。
布おむつが見直されるようになった理由の一つが、環境問題への関心の高まりです。2020年の業界団体の調査によると、赤ちゃんのおむつの使用量は1日5枚で年1825枚。1枚30gとすると54.75kg。日本全体で年間18万7000tの「ゴミ」になるそうです。逆に繰り返し洗濯して使い続けられる布おむつは、ゴミになりません。
またブランドやサイズにもよりますが、紙おむつは概ね1枚25円ほど。これを年に1825枚使うと約4万6000円、3年で14万円近くになります。セール日に大量に買い込むお父さん・お母さんをよく見かけますが、物価上昇が激しいいまは紙おむつも高くなってきています。それに対し布おむつ自体は1枚150円ほど。3年間で40枚を使っても6000円。1枚1000円ほどのおむつカバー代を加えても、圧倒的に経済的ですね。
布おむつの最大の特徴は、子どもにとっての「不快感」です。紙おむつのように水分を吸収しないので、おしっこやうんちをすると気持ちが悪いんです。その不快感で子どもは「泣く」というおむつ交換のサインを出せるようになり、さらに不快感からおむつ離れが早くなるともいわれています。実際、「ウチの息子は1歳の誕生日を過ぎる頃に布おむつを卒業した」といった話も耳にします。また紙おむつより交換の回数が多くなるので、子どもとのスキンシップの時間が増える、体調の変化に気づきやすいともいわれています。
実はこれだけ紙おむつが普及しても、その使用率はずっと90%ほどで推移しています。つまり残り10%は布おむつです。そして最近は布おむつを積極的に活用する保育園も話題になっています。もちろん費用削減の意味もありますが、最大の目的は「子どもたちの成長を促す」こと。布おむつには「おしっこが出た!」と、自分で意志表示をする力を育む効果があります。早くおむつを卒業できれば、その後の負担も減りますので、中には「布おむつ希望」という保護者もいるようです。
「洗って繰り返し使うなんて不衛生」「交換や洗濯で保育士の手間ばかり増える」と思うかもしれませんが、いまは洗濯・殺菌までしてくれるレンタル布おむつサービスを利用する園が大半です。また布おむつオンリーではなく、それぞれのいいとこ取りで紙おむつと併用する園もあります。
保育士の転職をサポートする『ほいとも』でも実際に、布おむつを使う理由をしっかり聞いて、納得の上であえて「布おむつ派」の園を選んだ人がいました。「布おむつなんて古い、考えられない」といわず、双方のメリットを比べながら、布おむつ交換を経験してみるのも新しい勉強になると思います。
■監修/新谷ますみ
保育園運営本部で勤務。短大の幼児教育学科を卒業し、保育士・幼稚園教諭資格を取得。結婚後も仕事を続け、出産を機に一度退職。子育てがひと段落して、職場復帰。大切にしている言葉は「失敗しても、じっくり待つ」。

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