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2024.04.03

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保育園でのヒヤリハットを見逃さないことが、重大事故対策の第一歩です!

保育園でのヒヤリハットを見逃さないことが、重大事故対策の第一歩です!

1件の重大事故の背景には29件の軽い事故があり、300件のヒヤリハットがあるといわれます。例えば2022年度には1897件の骨折事故が子ども家庭庁に報告されていますので、骨折に繋がったかもしれないヒヤリハットが約57万件あったことになります。重大事故を防ぐには、その種となるヒヤリハットを見逃さないこと。それが第一歩です。

外遊びで「すべり台の上で押し合いになって落ちそうになる」「うんていから手が離れそうになる」「前を見ずに走っていた子ども同士がぶつかりそうになる」。お部屋遊びで「おもちゃの部品を口に入れそうになる」「机の角に頭をぶつけそうになる」「ブラインドの紐に首がひっかかりそうになる」。散歩中に「急に走り出して車道に飛び出しそうになる」「落ちているどんぐりを食べそうになる」「ビニール袋を頭からかぶりそうになる」…。
保育士をしていれば、きっとよく目にする光景だと思います。特に新年度のスタート時や連休明けなどは多くなりますね。でも「〜しそうになる」で終わったから事故に至らなかっただけで、ひとつ間違えば「落ちてしまった」「飲みこんでしまった」になり兼ねません。だからこそ「怪我をしなくてよかった!」で済まさないことが大事ですね。
食事で「普通食とアレルギー食の配膳を間違えそうになる」「小麦アレルギーの子が隣の子のパンを取って食べそうになる」「お肉をほおばって喉に詰めそうになる」。午睡中に「タオルが顔にかかりそうになる」「横向きからうつぶせ寝に姿勢を変えそうになる」「鼻が詰まって息が苦しそうになる」。トイレで「濡れた床で滑って転びそうになる」「ドアに指をはさみそうになる」、送迎時に「駐車場で車の前を横切りそうになる」「車の後ろでしゃがんで死角に入りそうになる」…。
これもよくあることだと思いますが、アレルギーやうつぶせ寝は、転倒や落下などによる怪我よりも、さらに重大な結果を招く危険性があります。食事の配膳などは「間違えなくてよかった」では済まされません。
子どもたちへの注意喚起、遊具やおもちゃの安全確認、目が行き届く保育士の配置など、保育現場に共通する対策が必要なことはいうまでもありません。また子ども家庭庁が事故防止のガイドラインを出していますし、最近はセンサーで午睡の様子を確認できるICTシステムも登場しています。そんな資料や設備を活用することも、もちろん有効です。
ただ、環境や設備は園によって大きく異なりますので、各園の状況に応じた独自対策も不可欠です。そこでいちばん大切なのが事例の報告と共有。「今朝、こんなことがあった」「午後、こんな危ない場面を見かけた」という事例を保育士同士で報告しあえば、一人の気づきが全員の共通認識になります。そうすれば危ない遊び方をする子、事故につながる可能性のある場所などを、より多くの目でケアできるようになります。「遊具の上で押し合わないこと、順番を守ることを再徹底しましょう」「あの机の角にはクッション材を貼りましょう」「他に危ない箇所がないか洗い出しましょう」といった具体的な策を講じることもできます。
ヒヤリハット対策が進んでいる園では、定期的に情報共有のミーティングを開いたりしています。事故報告書と同じように「ヒヤリハット報告書」を作成し、記録に残しているケースもあります。「これを報告すると、自分の不注意やミスを責められるかも…」という気持ちから言い出しにくくならないよう、先生個人を咎めないことを徹底している園もあるようです。
また情報共有を先生方だけにとどめず、パート、調理師、バスの運転手など、全職員にまで広げることも大切です。さらに連絡帳などで保護者にも「今日、こんなことがあったので家庭でも気をつけてください」と情報を提供すれば、逆に「ウチの娘が最近、高いところに登りたがるんですが、保育園では大丈夫でしょうか?」と貴重な情報を得られることもあるようです。すべては子どもたちの安全のため。できるだけ多くの人の目で見守りたいですね。
■監修/新谷ますみ
保育園運営本部で勤務。短大の幼児教育学科を卒業し、保育士・幼稚園教諭資格を取得。結婚後も仕事を続け、出産を機に一度退職。子育てがひと段落して、職場復帰。大切にしている言葉は「失敗しても、じっくり待つ」。

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