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2024.06.05

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虫嫌いだと保育士失格? いいえ、そんなことはありません!

虫嫌いだと保育士失格? いいえ、そんなことはありません!

ダンゴムシ、アリ、チョウ、トンボ、セミ…。子どもたちが大好きな昆虫や小動物の活動が盛んになるシーズン。でも「せんせい、みてみて、つかまえたよ〜」と持って来られても、近づけないで、ぜったい触れない、という人もいますよね。虫嫌いを克服するのは至難の技ですが、「私は保育士失格?」と思い詰めるほどのことではありません。苦手は苦手のまま、子どもたちと一緒に楽しめる工夫をこっそり伝授します。

幼い頃は友だちと一緒にダンゴムシを捕まえてたのに、いつの間にか見るのもイヤになってた。こういうケース、結構多いみたいです。東京大学農学部の大学院の調査によると、その原因はまず「都市化によって野外より室内で虫を見ることが増え、虫への嫌悪感が高まったこと」、そして「虫の知識が低下し、嫌悪感を感じる虫の種類が多くなること」だといいます。
家で見る虫といえば、動きの速いアイツ(G)、ダニ、蚊などの害虫が中心。最近は大量発生で洗濯物に緑のカメムシがひっついてたなんてニュースも目にします。確かにこういう虫が好きな人はほとんどいませんね。外で他の虫を見る機会が減ると識別能力も低下し、一括りに虫に拒絶反応が出る…。そうなると、嫌悪感の代表格のGも、嫌悪感の低いはずのテントウムシもみんな同じ「虫」=「嫌い」という構図に陥るということです。
虫は子どもたちにとって初めて接する身近な生命です。小さな虫に触れることで命の尊さを知り、命を大切にする気持ちが養われます。さらにそれを飼育し、餌やりや掃除を当番制にすれば「自分がちゃんとお世話しなくちゃ」という責任感や役割意識も育まれます。だから園外保育で昆虫採集をしたり、蝶の幼虫やカタツムリ・金魚を飼ったりする保育園が多いのです。
「でも苦手なものは苦手」。これはもう仕方ありませんし、無理に好きになる必要もありません。ただ虫嫌いを克服しなくても、虫好きの子どもたちとうまくやっていくためにできることがあります。
苦手だからといって、子どもたちの前で強い拒絶反応を示さないようにしましょう。オトナの「嫌い」は、すぐに子どもに影響します。実際に捕まえたダンゴムシを見てほしいのに、親が「気持ち悪い」「早く捨てて」と嫌がる姿を見て、虫嫌いになる子どももいます。逆に嫌がる先生を面白がって余計に見せに来るという「イジワル」な気持ちを生むこともあります。
ではどう反応すればいいか。まずは「見せてくれてありがとう」「すごいね、よく捕まえたね」と褒めてあげることが大切です。それが子どもたちの成功体験になりますから。苦手でも逃げたり叫んだりせず、落ち着いて対応することから始めましょう。
保育園にはたくさんの昆虫図鑑があり、子どもたちにも人気です。「せんせい、よんで」といわれて一緒に見ているうちに、虫の生態や特徴を知って識別能力が高まり「この虫は大丈夫」と嫌悪感が薄まったという話も耳にします。実物に触れなくても、図鑑の写真を見ながら「すごいね」「おもしろいね」と共感するだけで子どもたちは喜んでくれます。また図鑑で見た昆虫を実際に屋外で発見したときには、感動を分かち合うこともできます。
さらに知識が増えると危険を回避することもできます。ハチやムカデが毒を持っていること、カマキリやクワガタは指を怪我するほど挟む力が強いことを知っていれば、「その虫は触っちゃダメ」と注意できます。ちょっとマニアックな話になりますが、ペッピリムシ(屁ひり虫)の一種にミイデラゴミムシというのがいます。街中の公園でも見られることがありますが、攻撃されるとお尻から100度のガスを噴射し、最近ヤケドの被害も報告されています。こういうことを知っていると「せんせい、すごい!」となりますね。
生き物への興味関心は、子どもたちの成長にもつながります。苦手は苦手のままで仕方ありませんが、パパ・ママ、先生などのオトナの気持ちが子どもたちに伝染しないように気をつけないといけません。保育園では子どもたちと一緒に学ぶことでコミュニケーションが深まり、保育の仕事がもっと楽しくなるかもしれません。まずは図鑑を見ることから始めてみませんか。
■監修/新谷ますみ
保育園運営本部で勤務。短大の幼児教育学科を卒業し、保育士・幼稚園教諭資格を取得。結婚後も仕事を続け、出産を機に一度退職。子育てがひと段落して、職場復帰。大切にしている言葉は「失敗しても、じっくり待つ」。

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