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2025.05.07

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保育園での絵本の活用は、子どもたちの成長や興味に合わせて!

保育園での絵本の活用は、子どもたちの成長や興味に合わせて!

保育園や幼稚園での活動に欠かせない絵本。みなさんの園にもきっと、たくさんの絵本があるはずです。ことばを覚えたり、社会性を学んだり、感情表現を豊かにしたり、その効果や役割はいうまでもありませんね。さらにうまく読み聞かせをし、成長や興味・個性に合わせて絵本を選ぶことで、子どもたちはもっと絵本が好きになり、もっと多くのことを学べるはずです。

子どもたちが初めて絵本に出会うのは、大人による読み聞かせです。0歳〜2歳では、はっきりとした絵でことばが面白いものを選びたいですね。ファースト絵本の定番の『いないいないばあ』『だるまさんが』『ぴょーん』などは、いずれもシンプルなことばの繰り返しで見開きに一場面が大きく描かれています。
こうした絵本の読み聞かせで大切なのはまず抑揚。「くまちゃんが いないいない…」は抑えめの声で、ページをめくるのと同時に「ばあ!」と声を張る。この繰り返しで子どもたちはどんどん絵本に引き込まれるはずです。また子どもの視力は1歳児で0.1〜0.2、2歳児で0.5〜0.6だといわれています。子どもたちと絵本の距離、座らせる位置にも注意し、本を動かさないようにするのもポイントです。
ただし『だるまさんが』などを繰り返し読み聞かせる中では、「ころんだ」のところで本を傾けたり、みんなで一緒にゴロンと転がったりすることで、絵本の世界観が広がることもあります。このあたりは本によって、保育士の腕の見せどころになりますね。

3歳〜5歳では、ものがたり性のある絵本からいろんなことを感じたり学んだりするようになります。『ぐりとぐら』シリーズでは友情や協力を、『のんたん』シリーズでは行動の善悪を、『14ひき』シリーズでは家族の大切さを、子どもたちは自然に感じ取っていきます。
こうした本の読み聞かせでは、余計なアドリブは控えましょう。また「このことばは3歳には難しいから」と言い換えたりする必要もありません。絵本の文章は作者が練りに練ったものです。それぞれの絵本が持つことばの力やリズムを、そのまま子どもたちに感じてもらうことが大切です。
「このあと、どうなるかな?」といった途中での質問、「この絵はこういう意味なんだよ」といった解説、「のんたんは悪い子だね」といった価値観の押し付けなども望ましくありません。わからない部分があっても、子どもたちはちゃんと全体を理解します。また感じ方も人それぞれです。どう受け止めるかは、一人ひとりに任せるのがいいかもしれません。
ブロックコーナー、お絵描きコーナーなどを設け、コーナー保育を実施している園も多いと思います。もちろんその中には「絵本コーナー」もありますね。ここにはどんな絵本を取りそろえればいいのでしょう。子どもたちの興味関心は様々ですから、ラインアップにも偏りがないように注意したいですね。
たとえば『はらぺこあおむし』は読み聞かせにもピッタリですが、ページのまんなかに穴があいていたりします。こうした「しかけ絵本」は自由に手にとって触って楽しめるようにもしたいですね。さらにひらがなが分かるようになると、自分で読みたいという欲求も出てきます『ぐりとぐら』や『14ひき』などのシリーズは、最初の数冊を読み聞かせたあと、続きを自分で読めるようにしておくのもいいと思います。一人でものがたりに没頭するタイプの子のために『こんとあき』『おおきな木』など、少し長めの物語も揃えておきたいですね。
また虫や花などの自然、車や電車などの乗り物に関心を持つ子どもも少なくありません。興味を深め知識を広げてあげるためには図鑑も欠かせません。絵や写真が大きくてわかりやすい『はじめてのずかん』シリーズなどが人気です。一人ではなく数人で見るのには「みつけ絵本」も楽しいですね。最近は『ミッケ』シリーズが有名ですが、『とこちゃんは どこ』は50年以上のロングセラーです。
みなさんの園にはどんな絵本が並んでいますか。最近は若者の読書離れがよく取り沙汰されていますが、本が感性や人生を豊かにしてくれることは間違いないと思います。そのきっかけとして子どもたちと本との「いい出会い」を、保育園でつくってあげられるといいですね。

※参考資料
『いないいないばあ』◇文/松谷 みよ子  絵/瀬川 康男 ◇童心社  
『だるまさんが』 ◇作/かがくい ひろし  ◇ブロンズ新社 
『ぴょーん』 ◇作/まつおか たつひで  ◇ポプラ社 
『ぐりとぐら』シリーズ ◇作/中川 李枝子  絵/大村 百合子  ◇福音館書店 
『のんたん』シリーズ ◇作/キヨノ サチコ  ◇偕成社 
『14ひき』シリーズ ◇作/いわむら かずお  ◇童心社 
『こんとあき』 ◇作/林 明子  ◇福音館書店 
『おおきな木』 ◇作/シェル・シルヴァスタイン  訳/村上 春樹  ◇あすなろ書房  
『はらぺこあおむし』 ◇作:エリック・カール  訳/もり ひさし  ◇偕成社 
『はじめてのずかん』シリーズ ◇講談社
『ミッケ』シリーズ ◇作/ウォルター・ウィックなど  訳/糸井 重里  ◇小学館
『とこちゃんは どこ』 ◇作/松岡 享子  絵/加古 里子  ◇福音館書店  
■監修/上嶋幹子
短大の幼児教育学科を卒業後、兵庫県で私立幼稚園での幼稚園教諭からスタート。その後、大阪府北摂の公立保育所と私立認可保育所で保育士として勤務。豊富な保育経験・スキルを有する。現在は、保育学生や保育士が安心して働ける環境を実現する活動を株式会社ワークプロジェクトで実践。保育ポリシーは「保育の正解はこどもが決める」。

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