2025.05.28
お役立ち情報
安全で楽しい保育園での水遊びのために「ガイドライン」に基づく万全の準備を!
子どもたちが大好きな水遊びの季節が近づいてきました。ただ子どもは水深5cmでも溺れることがあり、そこには大きなリスクが伴います。リスクは本格的なプール施設がある園でも、組み立て式プール、大きめのビニールプールなどを活用している園でも同じです。水遊びを安全に実施するためには事前の準備や確認が不可欠。文科省・こども家庭庁が示す「ガイドライン」を確認し、いまから万全の対策を講じておきましょう!
毎年更新される「ガイドライン」
保育園や幼稚園などには毎年5月末〜6月初旬頃に、管轄の都道府県を通じて「教育・保育施設等におけるプール活動・水遊びの事故防止 及び熱中症事故の防止について」という通達が届いていると思います。いわゆる「ガイドライン」と呼ばれるものですね。2016年から始まり、内容も少しずつ更新されているようです。
「プール活動・水遊びの事故防止」と「熱中症事故の防止」の2つが柱ですが、特に最近は熱中症に関する部分が充実してきたような気がします。今回は2024年5月31日付けの通達をもとに、ポイントとなる部分を掘り下げていきます。
「プール活動・水遊びの事故防止」と「熱中症事故の防止」の2つが柱ですが、特に最近は熱中症に関する部分が充実してきたような気がします。今回は2024年5月31日付けの通達をもとに、ポイントとなる部分を掘り下げていきます。
「プール活動・水遊びの事故防止」
ここには「1.監視体制の確保」「2.職員への事前教育」「3.緊急事態の対応等」の3項目について書かれています。特に注意したいのは監視体制。ガイドラインでは指導者とは別に「監視専任者」を置くことを求め、監視専任者は常に全体に目を配り、子どもの相手や片付けなどの作業をしてはいけないとしています。「ウチは職員数が少ないから、みんなで監視すればいいわよね」というのは通用しません。子どもはちょっと目を離した瞬間に溺れてしまうこともあります。ガイドラインは「十分な監視体制が確保できない場合、プール活動・水遊びの中止も選択肢とする」としています。
職員への事前教育では、事前に誰が監視役をするかを決めておくこと、監視の際に見落としがちなリスクや注意すべきポイントについて事前教育を十分に行うことが明記されています。また緊急事態の対応等では、心肺蘇生を含む応急処置法、緊急時の119番への通報体制などを事前に確認しておくことが求められています。どの園でもプール活動を行う前には職員ミーティングなどを行うと思います。その中で監視専任者や応急処置などが議題にのぼらなければ、子どもたちのためにぜひ声をあげてくださいね。
職員への事前教育では、事前に誰が監視役をするかを決めておくこと、監視の際に見落としがちなリスクや注意すべきポイントについて事前教育を十分に行うことが明記されています。また緊急事態の対応等では、心肺蘇生を含む応急処置法、緊急時の119番への通報体制などを事前に確認しておくことが求められています。どの園でもプール活動を行う前には職員ミーティングなどを行うと思います。その中で監視専任者や応急処置などが議題にのぼらなければ、子どもたちのためにぜひ声をあげてくださいね。
「熱中症の事故防止」
最高気温30度以上の真夏日はもうあたりまえ。最近は35度以上の猛暑日が何日続いたかが話題になるほど、夏が年々暑くなっていますね。日よけ対策、活動中の水分・塩分補給の体制などは早めに決めておかないといけません。
さらにガイドラインではプール活動を行うか中止するかの判断基準として、「暑さ指数」を活用することが推奨されています。暑さ指数とは、気温、湿度、日射・輻射熱の3要素をもとに、熱中症の危険度を可視化した数値で、WBGT(湿球黒球温度)とも呼ばれます。気温が高くてもカラッとしていれば指数は小さく、逆に気温28℃でも湿度が高ければ指数が大きくなったりします。そして指数が31を越えると「熱中症危険レベル」とされ、33で「熱中症警戒アラート」、35で「熱中症特別警戒アラート」が発令されます。暑さ指数は環境省の「熱中症予防情報サイト」で実況値・予測値を確認できます。誰がいつ確認するのか、指数がいくつ以上で中止するのかなども事前に決めておきたいですね。
◆熱中症予防情報サイト https://www.wbgt.env.go.jp/wbgt_data.php
また、こどもに対する声掛けも重要事項にあげられています。「子どもが自ら体調を意識し、必要な時には人に伝えられるように発達段階等に応じて適切に促す」なんて書かれていますが、子どもに熱中症を理解させるのは難しいですよね。「頭がふわふわしたり、気持ち悪くなったりしたらスグ先生を呼ぼうね」「喉が渇いたなぁって思う前に水を飲もうね」など、伝え方も考えないといけません。でも水遊びに夢中になっている子どもには、それも無理かもしれません。やはり監視体制の強化、監視ポイントの徹底が必要ですね。
さらにガイドラインではプール活動を行うか中止するかの判断基準として、「暑さ指数」を活用することが推奨されています。暑さ指数とは、気温、湿度、日射・輻射熱の3要素をもとに、熱中症の危険度を可視化した数値で、WBGT(湿球黒球温度)とも呼ばれます。気温が高くてもカラッとしていれば指数は小さく、逆に気温28℃でも湿度が高ければ指数が大きくなったりします。そして指数が31を越えると「熱中症危険レベル」とされ、33で「熱中症警戒アラート」、35で「熱中症特別警戒アラート」が発令されます。暑さ指数は環境省の「熱中症予防情報サイト」で実況値・予測値を確認できます。誰がいつ確認するのか、指数がいくつ以上で中止するのかなども事前に決めておきたいですね。
◆熱中症予防情報サイト https://www.wbgt.env.go.jp/wbgt_data.php
また、こどもに対する声掛けも重要事項にあげられています。「子どもが自ら体調を意識し、必要な時には人に伝えられるように発達段階等に応じて適切に促す」なんて書かれていますが、子どもに熱中症を理解させるのは難しいですよね。「頭がふわふわしたり、気持ち悪くなったりしたらスグ先生を呼ぼうね」「喉が渇いたなぁって思う前に水を飲もうね」など、伝え方も考えないといけません。でも水遊びに夢中になっている子どもには、それも無理かもしれません。やはり監視体制の強化、監視ポイントの徹底が必要ですね。
そのほかの事前準備や対策
ガイドラインの内容以外にも様々な準備や安全対策が必要です。例えばプール設備の場合はフィルターやポンプの点検、水質のチェック。ビニールプールなどの場合は穴や水漏れの確認。滑り止めマットや防護柵などの準備も必要です。監視体制などについては事前にチェックリストを作っておくのもオススメです。ひな形は下記の消費者庁のHPからダウンロードできますので、それを園に合わせてアレンジするのもいいと思います。
◆消費者庁:幼稚園等のプール活動・水遊びでの溺れ事故を防ぐために
https://www.caa.go.jp/policies/council/csic/teaching_material/
もちろん安全対策は園や園長主導で行われるべきものですが、先生一人ひとりにも「現場の保育者だからできること・気づくこと」があるはずです。みんなで協力して、ぜひ今年も子どもたちのために「安全で楽しいプール活動」を実現しましょう!
◆消費者庁:幼稚園等のプール活動・水遊びでの溺れ事故を防ぐために
https://www.caa.go.jp/policies/council/csic/teaching_material/
もちろん安全対策は園や園長主導で行われるべきものですが、先生一人ひとりにも「現場の保育者だからできること・気づくこと」があるはずです。みんなで協力して、ぜひ今年も子どもたちのために「安全で楽しいプール活動」を実現しましょう!
■監修/上嶋幹子
短大の幼児教育学科を卒業後、兵庫県で私立幼稚園での幼稚園教諭からスタート。その後、大阪府北摂の公立保育所と私立認可保育所で保育士として勤務。豊富な保育経験・スキルを有する。現在は、保育学生や保育士が安心して働ける環境を実現する活動を株式会社ワークプロジェクトで実践。保育ポリシーは「保育の正解はこどもが決める」。
短大の幼児教育学科を卒業後、兵庫県で私立幼稚園での幼稚園教諭からスタート。その後、大阪府北摂の公立保育所と私立認可保育所で保育士として勤務。豊富な保育経験・スキルを有する。現在は、保育学生や保育士が安心して働ける環境を実現する活動を株式会社ワークプロジェクトで実践。保育ポリシーは「保育の正解はこどもが決める」。