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2025.08.13

転職コラム

連載インタビュー(3)福井先生に聞く:自分の中で選択肢を増やす。保育士の仕事にも役立つはず!

梅花女子大学 心理こども学部 心理学科 准教授 福井 斉さん

梅花女子大学の福井先生のインタビュー、最終回は「どっちも選びたくない二択」を迫られたとき、心理学の立場でどう考えるかというお話です。ちょっとへんな質問から始まりますが、「自分の中で選択肢を増やす」「失敗を恐れずやってみる」ということは、きっと保育士さんの日々の仕事へのヒントにもなると思います。

【福井 斉(ひとし)先生プロフィール】

◇梅花女子大学 心理こども学部 心理学科 准教授 ◇社会学博士
研究テーマは「子どもの自尊感情を高める取り組み」。趣味はアニメ鑑賞。熱烈な阪神タイガースファンで「阪神を応援し続けるファン心理をライフワークとして研究していきたい」とも。

サクサクのシーフードカレー!?

◇ほいとも
「そんなことある?」と思われるかもしれませんが、カレーライスの具材を買いにスーパーに行ったら、マグロの赤身と納豆しかありませんでした。先生ならどっちを選びますか?
◆福井先生
僕の考え方だと「シーフードカレーにしたらええやん!」です。牛・豚・鶏などの肉がないなら、魚介ベースのシーフードカレーも悪くない。マグロの赤身ならフライにしてカツカレーみたいにトッピングしてもいい。どんな味になるのか想像しちゃいますね。
◇ほいとも
仕事でも日常生活でも、「選ばない」という選択肢ナシで、意思に反しても「どっちかを選ばなくちゃいけない」っていう場面がけっこうあると思います。そういうときのアドバイスをいただきたいと思っての質問なんですが、先生のお答えの意図は?
◆福井先生
「フレームを変えること」が大事なんですよ。この場合、与えられた条件で何ができるかを考えるんです。マグロを選んだなら煮込むより後乗せでサクサク感を楽しむとか。できることを探し出す、つまり「自分の中で選択肢を増やすこと」が有効なんです。

レゴブロックに無限の可能性があるように

◇ほいとも
どうすれば選択肢を増やせるんでしょうか?
◆福井先生
大変な状況であればあるほど、「これしかないよね」に陥りやすいんですが、案外それ以外の選択肢ってあるんですよね。できる・できないは置いといて、まず「選択肢ってホントにこれだけか」と考えることです。
◇ほいとも
もう少し具体的に教えてください。
◆福井先生
レゴで何かを作るときの発想に近いと思いますよ。あれ、部品の形は決まっていても、出来あがる作品は無限ですよね。四角いブロックでも、組み方一つで球体にもなる。それと一緒です。
◇ほいとも
なるほど。マグロを揚げるという発想も「組み方を変える」「選択肢を増やす」ということですね。
◆福井先生
その通りですね。煮込んだりすると魚臭くなりそうですが、揚げればきっと臭いも気にならない。さらに揚げたてサクサクのフライにカレーのルーがかかると旨そうじゃないですか。これ、レゴでいうと「作品の完成度が上がる」ということですね。「選択肢を増やすこと」で解決に近づくんですよ。

必要なのは経験?

◇ほいとも
マグロを揚げるというのは、料理経験がないと出てこない発想のような気がします。「選択肢を増やす」には、やっぱり経験が必要なんでしょうか?
◆福井先生
ん〜、経験よりも「失敗を恐れない」ことかな。僕のいい方だと「どんどん失敗しいや!」です。さっきのマグロを揚げる話でも、僕はそんなに料理の経験があるわけじゃないし、実際に揚げてみないと旨いかどうか知りませんよ。
◇ほいとも
私はマグロのカツのカレー、美味しそうだと思いましたが…。
◆福井先生
いやいや、分かりませんよ。でも大事なのは「やってみること」なんです。「上手くいかないかもしれないからやめておこう」と考えてしまったら、もう選択肢は増えません。マグロカツが旨くなかったら、結局「無駄な選択肢だった」となっちゃいますが、無駄を楽しむことも大事なんです。無駄の中から新たに有効な選択肢が見つかることもあるはずです。
◇ほいとも
そういう考え方って、保育士の仕事にも活かせますか?
◆福井先生
もちろん!特に若手なら先輩や上席が見守ってくれます。失敗しても必ずフォローしてくれます。なので「若いうちに、どんどん失敗しいや!」です。失敗を恐れずに取り組むこと、失敗の経験を積むことが、「選択肢を増やす」に繋がるんですよね。
◇ほいとも
今回は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。とても勉強になりました。
◆福井先生
こちらこそ、ありがとうございました。今日の話が少しでも保育士のみなさんの役に立つと、僕としても嬉しいです。

「早出か残業か、どっちかで対応して」「けんかになったの、どっちが悪いかはっきりさせて」…。そんな究極の二択を迫られたとき、これからはちょっと違う気持ちで対処できるような気がしませんか。加えて前々回の「3回までは我慢してやる」、前回の「怒っている相手とは座って話す」も、保育士の仕事の中で活かせそうですね。物事の見方、とらえ方を少し変えれば、新しい発想や行動が生まれる。そう気づかせていただいたように思います。

※聞き手:ほいとも・上嶋幹子
梅花女子大学学校内
■インタビュアー・監修/上嶋幹子
短大の幼児教育学科を卒業後、兵庫県で私立幼稚園での幼稚園教諭からスタート。その後、大阪府北摂の公立保育所と私立認可保育所で保育士として勤務。豊富な保育経験・スキルを有する。現在は、保育学生や保育士が安心して働ける環境を実現する活動を株式会社ワークプロジェクトで実践。保育ポリシーは「保育の正解はこどもが決める」。

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