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2025.08.27

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子どもたちの夏バテ、保育園でやるべき予防&改善対策を徹底解説!

子どもたちの夏バテ、保育園でやるべき予防&改善対策を徹底解説!

35度を超える猛暑日は当たり前。最低気温が27〜28度なんていう超熱帯夜も続いています。こうなると夏バテは避けて通れません。特に子どもたちは夏バテしているという自覚がなく、自分で何かに気をつけることもできません。ここは保育士としての真価を発揮するタイミング!忙しい保育現場でも無理なく取り入れられる夏バテ対策、子どもたちの元気と笑顔を守る実践ノウハウを徹底的に解説します。

【症状1】食欲不振・体力の低下

何だか食欲がない。いつものように体が動かない。これ、夏バテの典型的な症状ですね。子どもの食欲不振の主因は自律神経の乱れによる胃腸血流の低下です。高温下では自律神経より交感神経が優位に働き、消化器の動きが抑制されて空腹を感じにくくなる。食欲がないからと冷たいアイスや飲み物ばかりを摂ると胃粘膜が冷え、さらに胃腸の働きが弱くなる。食べないから当然、体力も落ちる。そんな悪循環が生じます。
ただ子どもたちは「先生、ぼく夏バテっぽい」なんていえません。逆に顔色だけで「この子、夏バテ」と判断するのも困難。そこで、①主食完食率が2日続けて7割未満、②園庭遊びで15分以内に「休みたい」という、③昼寝が平常より30分以上長い…といった簡易スクリーニングの基準を設けておくことをオススメします。

【症状2】睡眠不足・イライラなどの情緒不安定

高温多湿の夜は深部体温が下がらず、寝つきが悪くなります。さらにエアコンの効いた室内と屋外との温度差が10℃近くになると自律神経が混乱し、睡眠の質も低下します。このダブルパンチが翌日に脳疲労を残し、イライラなどの情緒不安定を招くんです。
睡眠の大半は夜ですが、昼に短時間でもぐっすり眠れるとスッキリすることがありますね。だから保育園での午睡環境づくりが重要。遮光カーテンで室内照度を200ルクス以下に。サーキュレーターで空気を循環。冷感シーツや薄手のガーゼケットで発汗による寝苦しさを抑制。これで午睡の質が上がるはずです。

【症状3】免疫や抵抗力の低下

夏バテで体力が落ちると抵抗力も落ちる。そんなイメージ、ありますよね。医学的にいうと、交感神経が優位に働き続けると唾液や鼻粘膜の分泌量が減って外敵をブロックする機能が低下する、白血球の一種「好中球」が病原体を排除する力も弱まる…ということのようです。保育園ではプール熱や手足口病などが頻発しますが、夏バテしている園児は感染しやすく、回復も遅れがちです。
例えば「口内炎が治りにくい」「鼻水が水様から粘性に変わる」「微熱が数日続く」などは免疫力低下の黄信号。小さな異変を見逃さず、気づいたらこまめな体温測定と記録を徹底しましょう。

<対策1>水分補給は「多め」「ぬるめ」で

夏は適切な水分補給が欠かせません。特に幼児は必要量が大人より多く、体重1kgにつき70〜90ml、15kgの園児なら1日に約1.2リットルが目安とされます。さらに量と同等にタイミングも大事。睡眠中に水分を失っている登園直後、午前の主活動開始前後、昼食時、午後の屋外遊び後など、規則的に「給水タイム」を設けましょう。特に発汗量が多い外遊び後は通常の1.5倍量で体内水分を素早く回復させましょう。
ただしキンキンに冷えた水は消化機能を鈍らせ、食欲不振や腹痛を招きかねません。また市販のスポーツドリンクは大量の糖分・塩分(ナトリウム)を含みます。500mlで角砂糖15個分といわれる糖分は肥満や虫歯の原因に、ナトリウム過多は腎臓の負担になります。「おいしくな〜い」と不評でも、常温の水や白湯がベストです。

<対策2>「鶏ささみそうめん」などバランスの取れた食事を

3〜5歳児には1日1000〜1300kcalが必要で、その60〜70%を保育園給食で賄うよう設計されます。具体的には炭水化物50〜60%、たんぱく質15%前後、脂質25〜30%に整えることで、成長と活動に必要な燃料を安定摂取できます。さらに夏バテ予防にはビタミンB1、ビタミンC、クエン酸、良質なたんぱく質も不可欠です。
でも食欲のない夏にしっかり食べさせるのは難しいですよね。そこで完食率抜群、夏の人気メニューを紹介します。焼き鮭フレーク+枝豆+刻み海苔の「和風だしの冷やし茶漬け」、レモン香る「鶏ささみそうめん」、野菜たっぷり「豚肉みそ冷しゃぶ」。3つとも喉ごしがよく、ビタミンB1とCもたっぷり。ほとんどの子がペロっといっちゃいますので、ぜひ試してみてください。

<対策3>家庭と連携して規則正しい生活習慣を

夏バテ防止には規則正しい生活が第一。中でも重要なのが睡眠ですね。3〜5歳児は午睡を含め1日10〜12時間の睡眠が目安。特に成長ホルモンの分泌ピーク「夜22時〜深夜2時」の熟睡が体力回復と発育に不可欠です。
生活サイクルは家庭によって様々ですが、「子どものため」という気持ちは同じです。保護者には就寝リズムを整えるために、①就寝1時間前にテレビ・タブレットを消す、②入浴は就寝の90分前までに、③寝室を暗くし子どもだけで入眠できるよう声掛けを短くする…という3点を提案すると理解を得やすいですよ。
もちろん家庭との連携は睡眠以外でも重要です。園児をこまめに観察し、「いつもと感じが違うな」と思ったらまずは記録。発熱がなくても連絡帳などで様子を報告し、翌日「家庭での様子」を知らせてもらいましょう。夏バテ気味なら「家でゆっくり休ませてあげたい」と思いがちですが、家庭にはそれぞれ仕事の都合や事情があります。そういうときこそ、園でゆったりさせてあげられるといいですね。
■監修/上嶋幹子
短大の幼児教育学科を卒業後、兵庫県で私立幼稚園での幼稚園教諭からスタート。その後、大阪府北摂の公立保育所と私立認可保育所で保育士として勤務。豊富な保育経験・スキルを有する。現在は、保育学生や保育士が安心して働ける環境を実現する活動を株式会社ワークプロジェクトで実践。保育ポリシーは「保育の正解はこどもが決める」。

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