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2025.10.08

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子どもの困った行動を捉え直す「リフレーミング」は、保育士のストレス軽減にも◎

子どもの困った行動を捉え直す「リフレーミング」は、保育士のストレス軽減にも◎

「リフレーミング」。みなさんも学生時代に心理学系の授業で習ったことがあるかもしれませんね。フレーム(枠組み)や視点を変えるという意味で、ネガティブなことをポジティブに捉え直す思考法です。コップ半分の水を「もう半分しかない」と捉えず、「まだ半分ある」と捉えようという話が有名ですね。これを保育現場に応用すると、子どもたちの成長に好影響なだけでなく、保育士のストレスを減らすこともできるんです。

例えば「騒がしい」は「元気いっぱい」と捉える

じっとしてなきゃいけない場面でも一人だけ騒いでいる。何度「静かにしなさい」といってもぜんぜん聞いてくれない…。これが延々と続くと、子どもが大好きな保育士でもイライラしてしまいますよね。
この「騒がしい」を、一度「元気がいい」と捉え直してみましょう。そして「静かに!」ではなく、「元気いっぱいでいいね」と声をかけてみましょう。他にも子どもたちの行動・様子を、こんなふうに捉え直してみてください。
◆落ち着きがない
→ 好奇心旺盛でエネルギッシュ
◆わがまま・自己主張が強い
→ 自分の意思をしっかり持っている
◆おしゃべり
→ 明るく社交的で表現力が豊か
◆臆病・怖がり
→ 慎重で想像力豊か
◆好き嫌いが多い
→ 繊細な味覚の持ち主
◆忘れ物やミスが多い
→ おおらかで全体を捉えるのが得意

困った行動は、子どもたちの成長チャンスでもある

一見、困った行動・問題行動と思われることも見方を変えると、それは秘めた可能性や成長のサインだったりする。だから子どもの行動をポジティブに捉えようというのが「リフレーミング」の考え方です。
いつも騒がしい子が「静かにしなさい!」の代わりに、「元気いっぱいでいいね」といわれると、自分の行動を前向きに捉えられるようになります。そんな肯定的な関わり方で、子どもは自身の特性を受け入れ、自信を持つための大切な基盤を手にするんです。

子どもたちの自律性を促すような関わり方を

確かに騒がしい子は「元気でいいね」という肯定で余計に騒ぐかもしれません。そんな場合は、静かにしているときにも「みんなのために静かにしてくれて偉いね」のように褒めてあげましょう。そうすれば自分の元気をいつ発揮すればいいかが分かってくるはずです。
また忘れ物やミスが多い子も、「だらしない」「注意力散漫」と決めつけず、「細かいことに囚われないおおらかさ」と捉えましょう。そしてミスを責めずに「おおらかさ」を長所として認め、「どうしたら忘れ物をしないかな?」「一緒に工夫してみようか」と具体的な対策へと導いてみてください。
いずれの場合も大切なのは、自律性を促す関わり方や提案をすること。注意ばかりされるよりも、子どもたちは安心してのびのび成長していけます。

保育士のストレスや怒りの感情も薄れるはずです

いうことを聞かない、友だちとすぐ喧嘩する、片付けができない…。そんな子どもが多いと、どうしても怒りが込み上げますよね。でも子どものマイナス面ばかりに目が行くと、ストレスも募るばかり。「許せない」とか「自分は保育士に向いてないかも…」といった感情に発展することもあります。
そこで「リフレーミング」です。困った行動をボジティブに捉え直す。子どもの成長チャンスと認識する。そんな習慣を身につければ、きっと心に余裕が生まれ、子どもたちへの理解も深まるはず。そしてイライラやストレスも軽減するはずです。
ストレスの積み重ねは、大きな不安や自信喪失、さらにバーンアウト(燃え尽き症候群)に繋がる可能性もあります。心穏やかに保育士の仕事を続けていくためにも、「リフレーミング」の思考法が有効なんです。

保護者も「リフレーミング」に巻き込んじゃいましょう

子ども同士のトラブルがあった場合、連絡帳にはどう書きますか。単に「おもちゃの取り合いでトラブルになりました」と書くより、「〇〇ちゃんはちょっとお友だちとぶつかってしまいましたが、自分の気持ちを伝えようと頑張っていましたよ」と伝えてみましょう。
トラブルよりも成長や努力に焦点を当てることで、保護者の不安を軽減し、子どもの発達をともに喜ぶことができます。そうすれば協力し合える関係性を築きやすくなり、園への信頼感を深めることもできます。
さらに機会があれば「リフレーミング」の考え方も、ぜひ伝えてみてください。家庭での「困った行動」を新たな視点で見つめ直せば、保護者の子育てのストレスを減らす手助けにもなるはずです。

忙しい時期ほど「リフレーミング」で毎日を豊かに

運動会、遠足、ハロウィンなど、秋は行事が多く忙しい時期。集団行動を乱すような行動に、いつも以上にイライラしたりしますね。そんなみなさんにこそ「リフレーミング」を実践してほしいんです。
「気持ちの持ちようって話じゃないの?」と思うかもしれません。でも「リフレーミング」はコミュニケーション心理学で優れた思考方法として認知され、大手企業も人材育成やマーケティングなどに積極的に取り入れているんです。
一度身につければ、保育のあらゆる場面で活用できる強力なツールになります。ぜひ今日から、
子どもたちの行動を多様な視点で捉え直してみてください。保育士という仕事が、もっと豊かで喜びに満ちたものになるはずですから。
■監修/上嶋幹子
短大の幼児教育学科を卒業後、兵庫県で私立幼稚園での幼稚園教諭からスタート。その後、大阪府北摂の公立保育所と私立認可保育所で保育士として勤務。豊富な保育経験・スキルを有する。現在は、保育学生や保育士が安心して働ける環境を実現する活動を株式会社ワークプロジェクトで実践。保育ポリシーは「保育の正解はこどもが決める」。

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