2026.01.14
転職コラム
【連載インタビュー】福井未来先生に聞く(1):保育士のみなさんにこそ知ってほしい「ポジティブ心理学」

種智院大学の福井未来(みき)先生のお話を2回にわたりお届けします。実は未来先生、昨年7月以降、5回ご登場いただいた梅花女子大学の福井斉(ひとし)先生の奥様でいらっしゃいます。そのご縁もあり、今回インタビューの機会をいただきました。初回は「ポジティブ心理学」についてです。保育士の日々の仕事の中で、すぐに実践できる興味深い情報が満載ですよ。
【福井 未来(みき)先生 プロフィール】
◇種智院大学 人文学部 社会福祉学科 講師
研究テーマは、バイタリティ、児童虐待、子育て支援、生涯発達など。モットーは「ポジティブ思考で、完璧は目指さない」。趣味はホラー映画や絶叫マシーンなどの過激体験。
4人(?)の子育て経験者!
◇ほいとも
先生、今日はよろしくお願いします。
◆未来先生
はい、こちらこそよろしくお願いします。ほいともさんは保育士さんのために一生懸命な会社だって、主人から聞いてますよ。
◇ほいとも
ありがとうございます。斉先生にも貴重なお話をたくさん聞かせていただきました。
◆未来先生
「けっこう突っ込んだ質問をしてくるから気をつけて」ともいわれてます(笑)。
◇ほいとも
もうバレてるなら、今回も遠慮なくいかせていただきますね(笑)。早速ですが先生の自己紹介からお願いします。
◆未来先生
では簡単に。大学講師になる前は、発達相談や児童虐待に対応する市の職員や、スクールカウンセラーをしてました。それから精神障がいをお持ちの方の相談支援なども。
◇ほいとも
ずっと福祉のお仕事をされてこられたんですね。
◆未来先生
はい、その間に3人の子どもに恵まれ、夫をイクメンに仕立てて…。
◇ほいとも
では実際は4人をお育てになったんですね(笑)。
◆未来先生
あはは、そうなりますね。
先生、今日はよろしくお願いします。
◆未来先生
はい、こちらこそよろしくお願いします。ほいともさんは保育士さんのために一生懸命な会社だって、主人から聞いてますよ。
◇ほいとも
ありがとうございます。斉先生にも貴重なお話をたくさん聞かせていただきました。
◆未来先生
「けっこう突っ込んだ質問をしてくるから気をつけて」ともいわれてます(笑)。
◇ほいとも
もうバレてるなら、今回も遠慮なくいかせていただきますね(笑)。早速ですが先生の自己紹介からお願いします。
◆未来先生
では簡単に。大学講師になる前は、発達相談や児童虐待に対応する市の職員や、スクールカウンセラーをしてました。それから精神障がいをお持ちの方の相談支援なども。
◇ほいとも
ずっと福祉のお仕事をされてこられたんですね。
◆未来先生
はい、その間に3人の子どもに恵まれ、夫をイクメンに仕立てて…。
◇ほいとも
では実際は4人をお育てになったんですね(笑)。
◆未来先生
あはは、そうなりますね。
実は「適当」で「行き当たりばったり」?
◇ほいとも
でも働きながらの子育てはたいへんだったんじゃないですか?
◆未来先生
確かにたいへんでしたが、全部をキッチリこなすタイプじゃないんで、いろいろな方に助けてもらいながら「適当に」です。
◇ほいとも
えっ!? 心理学の先生って、何でも計算に基づいてキッチリされるイメージですが、「適当に」ですか?
◆未来先生
ええ、私はそもそも上手にできるものがあまりないんです。家事なんかはその最たるものなので、いちばん手を抜きました。それ以前に、大学で心理学を専攻することになったのも、実は「行き当たりばったり」なんです。
◇ほいとも
うわ、それもびっくりです。
◆未来先生
高校卒業後、苦手な英語を克服するために1年間くらい、オーストラリアに留学したんです。でも思ったほど語学力が伸びず、これじゃダメだと思って今度はアメリカに渡って現地の大学を受験。そこでの専攻が心理学だったんです。アメリカが好きとか、英語が得意だったわけではないんです。ね、「行き当たりばったり」でしょ。
◇ほいとも
でも語学から心理学にスライドされたのには理由があるんじゃないですか?
◆未来先生
結局、私は人が好きなんです。「もっと人のことを知りたい」の延長線上に心理学があったんだと思います。
でも働きながらの子育てはたいへんだったんじゃないですか?
◆未来先生
確かにたいへんでしたが、全部をキッチリこなすタイプじゃないんで、いろいろな方に助けてもらいながら「適当に」です。
◇ほいとも
えっ!? 心理学の先生って、何でも計算に基づいてキッチリされるイメージですが、「適当に」ですか?
◆未来先生
ええ、私はそもそも上手にできるものがあまりないんです。家事なんかはその最たるものなので、いちばん手を抜きました。それ以前に、大学で心理学を専攻することになったのも、実は「行き当たりばったり」なんです。
◇ほいとも
うわ、それもびっくりです。
◆未来先生
高校卒業後、苦手な英語を克服するために1年間くらい、オーストラリアに留学したんです。でも思ったほど語学力が伸びず、これじゃダメだと思って今度はアメリカに渡って現地の大学を受験。そこでの専攻が心理学だったんです。アメリカが好きとか、英語が得意だったわけではないんです。ね、「行き当たりばったり」でしょ。
◇ほいとも
でも語学から心理学にスライドされたのには理由があるんじゃないですか?
◆未来先生
結局、私は人が好きなんです。「もっと人のことを知りたい」の延長線上に心理学があったんだと思います。
いよいよ「ポジティブ心理学」の核心へ!
◇ほいとも
先生は「行き当たりばったり」とおっしゃいますが、お話を伺ってるとポジティブ度が高いなぁという印象です。
◆未来先生
あはは、そう見えるかもしれませんね。でも実際は、嫌なことをなかったことにするというより、どうすれば余裕を取り戻せるかを考えるようにしています。
私の研究領域が「ポジティブ心理学」なので。
◇ほいとも
具体的にどういう心理学ですか?
◆未来先生
どんなことにもポジティブな側面とネガティブな側面がありますが、できるだけポジティブな側面に目を向けて研究する心理学の一領域です。ポジティブな側面だけを見る心理学ではなく、
しんどさや怒りを含めたうえで、その人の力がどうすれば発揮されるかを研究する心理学です。
◇ほいとも
私たちは保育園や幼稚園の先生の転職・就業を支援してるんですが、意思や欲求をうまく表現できない子どもたちと毎日接する中で、自分の感情をコントロールするのが難しいという声をよく聞きます。「ポジティブ心理学」は保育士さんにも役立ちそうですね。
◆未来先生
まさにそうだと思います。バーンアウト(燃え尽き症候群)される方は対人援助職に多いんです。そこに陥るメカニズムを考えると「人のネガティブな側面にばかり目を奪われてしまう」という傾向があって、その人を「どうにかしたい」と思ったときにしんどくなると思うんです。
◇ほいとも
でもやっぱり「どうにかしたい」と思うことって多いですよね。
◆未来先生
人はそう簡単には変わりません。いくら熱意を込めて素晴らしい言葉を並べても変わらないものです。「どうにかしたい」と思う相手、保育士さんの場合は子どもですが、相手にも「変わらない理由」があるからです。ではどういうときに変わるのか。それは互いに余裕ができたときなんじゃないかと思います。
◇ほいとも
「余裕」ですか?
◆未来先生
例えば集団遊びに参加せず、一人で園庭をウロウロしている子がいるとします。保育士さんは「みんなといっしょに遊んだら楽しいのに」と思って、集団に参加させようと必死になりますね。でも子どもは嫌がって泣いて逃げ出したりします。
◇ほいとも
確かにそういう場面、よくあると思います。
◆未来先生
そんなとき保育士さんは「どうしていうことを聞いてくれないの!」って思いがちですね。これ、「みんなと一緒に遊ばせたい」と必死になるあまり、視野が狭くなって余裕をなくしている状態です。こういうときこそ「ポジティブ心理学」の要素で考えることをお勧めします。
先生は「行き当たりばったり」とおっしゃいますが、お話を伺ってるとポジティブ度が高いなぁという印象です。
◆未来先生
あはは、そう見えるかもしれませんね。でも実際は、嫌なことをなかったことにするというより、どうすれば余裕を取り戻せるかを考えるようにしています。
私の研究領域が「ポジティブ心理学」なので。
◇ほいとも
具体的にどういう心理学ですか?
◆未来先生
どんなことにもポジティブな側面とネガティブな側面がありますが、できるだけポジティブな側面に目を向けて研究する心理学の一領域です。ポジティブな側面だけを見る心理学ではなく、
しんどさや怒りを含めたうえで、その人の力がどうすれば発揮されるかを研究する心理学です。
◇ほいとも
私たちは保育園や幼稚園の先生の転職・就業を支援してるんですが、意思や欲求をうまく表現できない子どもたちと毎日接する中で、自分の感情をコントロールするのが難しいという声をよく聞きます。「ポジティブ心理学」は保育士さんにも役立ちそうですね。
◆未来先生
まさにそうだと思います。バーンアウト(燃え尽き症候群)される方は対人援助職に多いんです。そこに陥るメカニズムを考えると「人のネガティブな側面にばかり目を奪われてしまう」という傾向があって、その人を「どうにかしたい」と思ったときにしんどくなると思うんです。
◇ほいとも
でもやっぱり「どうにかしたい」と思うことって多いですよね。
◆未来先生
人はそう簡単には変わりません。いくら熱意を込めて素晴らしい言葉を並べても変わらないものです。「どうにかしたい」と思う相手、保育士さんの場合は子どもですが、相手にも「変わらない理由」があるからです。ではどういうときに変わるのか。それは互いに余裕ができたときなんじゃないかと思います。
◇ほいとも
「余裕」ですか?
◆未来先生
例えば集団遊びに参加せず、一人で園庭をウロウロしている子がいるとします。保育士さんは「みんなといっしょに遊んだら楽しいのに」と思って、集団に参加させようと必死になりますね。でも子どもは嫌がって泣いて逃げ出したりします。
◇ほいとも
確かにそういう場面、よくあると思います。
◆未来先生
そんなとき保育士さんは「どうしていうことを聞いてくれないの!」って思いがちですね。これ、「みんなと一緒に遊ばせたい」と必死になるあまり、視野が狭くなって余裕をなくしている状態です。こういうときこそ「ポジティブ心理学」の要素で考えることをお勧めします。
その子の「いいところ」に目を向けて!
◇ほいとも
「ポジティブ心理学の要素」って、具体的にどうすればいいんですか?
◆未来先生
まず集団遊びに参加しない子の気持ちってどうなんでしょう? もしかすると一人でいることで不安を解消しているのかもしれません。強引に参加させようとすることが逆に不安を増大させているのかもしれません。なぜみんなと一緒に遊ばないのか、「変わらない理由」を知るためには、なぜ今その行動が必要なのかを理解しようとすることが大事です。
◇ほいとも
「理解する」ということですか?
◆未来先生
「いうことを聞かない子」ではなく、「一人で過ごす力をもってる子」と捉えたらどうでしょう。そう思って一緒に園庭をウロウロしてみたら、その子が見ている景色が知れ、一人で何を楽しんでいるかを理解できるかもしれません。要はその子を理解し、その子の好きなこと・得意なことに、こちらが興味を持つことですね。そうすると保育士さんに余裕が生まれます。
◇ほいとも
なるほど!それが「ポジティブ心理学」なんですね!
◆未来先生
その子を理解しようとする関わりの中で、結果として心に余裕が生まれます。その子も庭園ウロウロに付き合ってくれている保育士さんに親近感を持ち、信頼し、心を許してくれるかもしれません。そうしているうちに、この先生が言うならやってみようかなと集団遊びにも参加してくれるようになるかもしれません。
◇ほいとも
ありがとうございます。とても勉強になりました。
今回は物事のポジティブな側面に目を向けることの大切さを教えていただきました。でもそれだけではうまくいかないこともあると思います。次回はうまくいかないときに感じるストレスの対処法などを伺っていきます。
※聞き手:上嶋幹子
「ポジティブ心理学の要素」って、具体的にどうすればいいんですか?
◆未来先生
まず集団遊びに参加しない子の気持ちってどうなんでしょう? もしかすると一人でいることで不安を解消しているのかもしれません。強引に参加させようとすることが逆に不安を増大させているのかもしれません。なぜみんなと一緒に遊ばないのか、「変わらない理由」を知るためには、なぜ今その行動が必要なのかを理解しようとすることが大事です。
◇ほいとも
「理解する」ということですか?
◆未来先生
「いうことを聞かない子」ではなく、「一人で過ごす力をもってる子」と捉えたらどうでしょう。そう思って一緒に園庭をウロウロしてみたら、その子が見ている景色が知れ、一人で何を楽しんでいるかを理解できるかもしれません。要はその子を理解し、その子の好きなこと・得意なことに、こちらが興味を持つことですね。そうすると保育士さんに余裕が生まれます。
◇ほいとも
なるほど!それが「ポジティブ心理学」なんですね!
◆未来先生
その子を理解しようとする関わりの中で、結果として心に余裕が生まれます。その子も庭園ウロウロに付き合ってくれている保育士さんに親近感を持ち、信頼し、心を許してくれるかもしれません。そうしているうちに、この先生が言うならやってみようかなと集団遊びにも参加してくれるようになるかもしれません。
◇ほいとも
ありがとうございます。とても勉強になりました。
今回は物事のポジティブな側面に目を向けることの大切さを教えていただきました。でもそれだけではうまくいかないこともあると思います。次回はうまくいかないときに感じるストレスの対処法などを伺っていきます。
※聞き手:上嶋幹子
■インタビュアー・監修/上嶋幹子
短大の幼児教育学科を卒業後、兵庫県で私立幼稚園での幼稚園教諭からスタート。その後、大阪府北摂の公立保育所と私立認可保育所で保育士として勤務。豊富な保育経験・スキルを有する。現在は、保育学生や保育士が安心して働ける環境を実現する活動を株式会社ワークプロジェクトで実践。保育ポリシーは「保育の正解はこどもが決める」。
短大の幼児教育学科を卒業後、兵庫県で私立幼稚園での幼稚園教諭からスタート。その後、大阪府北摂の公立保育所と私立認可保育所で保育士として勤務。豊富な保育経験・スキルを有する。現在は、保育学生や保育士が安心して働ける環境を実現する活動を株式会社ワークプロジェクトで実践。保育ポリシーは「保育の正解はこどもが決める」。