2026.05.13
お役立ち情報
園児の保護者からの厳しい指摘やクレーム、ストレスを溜めずスムーズに対処するには…

新年度スタートからしばらく経ち、そろそろ保護者からのお叱り・クレームも増える時期ですね。時には「嫌味っぽい」「理不尽」と感じることがあるかもしれませんが、それもこれも「我が子を思う気持ち」から出る言葉。そこを理解した上で、かつ保育士自身が悩むことなく、ストレスを溜めずに対処できる「実践的な受け止め方・返し方」をアドバイスします!
「ウチの子のこと、ちゃんと見てくれてるんですか!」
帰ったら服が汚れていた。朝、保育園に行きたがらない。ちょっとしたことでも親は「自分の子をちゃんと見てくれているのか」と心配になります。これに「見てますよ!」と返してしまっては火に油。元も子もありません。
まずは「ご心配をおかけして申し訳ありません」と謝罪し、不安にさせてしまったことに共感を示します。共感とは相手の意見にすべて同意することではなく、感情そのものに寄り添うことです。「ご心配はよく分かります」といった言葉は、相手に「自分の気持ちを理解してもらえた」と感じさせ、孤立感を和らげることができます。
そうして保護者の気持ちが落ち着いたところで、「○○くん、今日は一生懸命にお絵描きしてました。最近、集中力がすごいですね」と、園での子どもの具体的な様子などを話しましょう。
口で「ちゃんと見ています」というよりも、「見ていること」がちゃんと伝わるはずです。
「こんな怪我をさせて、どうしてくれるんですか!」
次に状況や事情の説明です。ここでは「いつ、どこで、どんな状況で、何が起こり、どう対処したか」を具体的かつ簡潔に伝えるよう心がけましょう。憶測や曖昧な表現を挟まず事実のみを端的に、です。
そして最後に「今後どうするか」。これも「同じことが起きないよう、遊具の使い方について○○するよう配慮します」と具体的な対策を伝えます。その際に注意したいのは決して一人で抱え込まないことです。自分だけ、担任クラスだけの問題ではなく、園全体の課題として捉える。必ず園長や主任に報告し、「園全体で情報を共有し、対策を徹底します」と、組織として再発防止に取り組む姿勢を示す。それが保護者の信頼回復への近道です。
怪我やトラブルの事例、難しい保護者対応の事例は職員会議などで共有し、ケーススタディとしてみんなで検討する。そんな文化を作っておけば、保育士一人ひとりが精神的に孤立することもありませんね。
「ウチの子、どんくさいので…」
そのうえで「傾聴」の姿勢を示すことが大切です。どんな場面で「どんくさい」と思うのか、どんな面での「発達・成長」に不安を感じるのか、具体的に聞いてみましょう。家ではできてないことも、園ではできていたりすることがあります。逆に「どんくさい」という言葉で軽く聞こえても、問題が深刻なケースもあります。とにかく詳しくヒアリングしないと、「家庭と協力しながら今後どうしていくか」という解決策も見出せません。
相手との信頼関係を深める上で「傾聴」のスキルは欠かせません。傾聴とは相手の話を黙って聞くのではなく、言葉の背景にある感情や、いいたいことの真意を理解しようとする積極的な姿勢を指します。同時に適度に相槌を打つ、うなずく、相手の目を見て話を聞くといった非言語的なコミュニケーションも意識すれば、「この先生は真剣に話を聞いてくれている」というメッセージになります。
「はい、今後気をつけます」という安易な返事はNG
もちろん具体性があっても「もう絶対にお怪我をさせません」のように、実現不可能な約束をするのもNGです。その場で判断できないことは「確認して、改めて〇日までにご連絡します」と正直に伝える。約束は「できること」だけにとどめ、必ず守る。そんな誠実な姿勢こそが、結果的に信頼に繋がるんです。
そもそもクレームをもらわないようにするには…
まずは挨拶を変えてみませんか。ただ「おはよう」というだけでなく、園児には「○○くん、おはよう!」、保護者には「○○ちゃんのお母さん、おはようございます」と相手の名前を添えるだけで心の距離がぐっと縮まりますよ。
また、園での子どもの様子が分からないこともクレームの原因になります。例えば連絡帳は「今日も元気に過ごしました」といった定型文に終始せず、できるだけ具体的なエピソードを交えてみてください。「鉄棒で逆上がりの練習を根気強く頑張っていました」「苦手なニンジンを一口食べられました」など、子どもの努力や成長の過程を「見える化」するんです。そうすれば「ウチの子を見てくれてない」なんて印象にはならないはずです。
クレームはないに越したことはありません。せっかく実践的な対処法をアドバイスしましたが、それが無駄になるのがいちばんですね。
短大の幼児教育学科を卒業後、兵庫県で私立幼稚園での幼稚園教諭からスタート。その後、大阪府北摂の公立保育所と私立認可保育所で保育士として勤務。豊富な保育経験・スキルを有する。現在は、保育学生や保育士が安心して働ける環境を実現する活動を株式会社ワークプロジェクトで実践。保育ポリシーは「保育の正解はこどもが決める」。