2026.09.09
お役立ち情報
夏の思い出のお絵かきは、園児の「表現力」を伸ばす絶好のチャンス!

おじいちゃん・おばあちゃんの家に行った、プールで遊んだ、花火を見た、セミを捕まえた、かき氷を食べた…。この夏も子どもたちには、たくさんの楽しい思い出ができたはず。そんな思い出をお絵かきする際に、園児の表現力を引き出す「魔法の言葉がけ」や「夏ならではの技法」があるんです!
「経験を形にすること」は発達の重要なステップ
幼児期の表現は発達に応じて変化します。3〜4歳の「象徴期」では絵を描いた後に連想して意味付けをします。4〜5歳の「カタログ期」や「図式前期」になると、自分の知識や感情を絵で表現しようとします。
非日常の出来事を描くことで、子どもたちは「思い出=経験」を自分のなかに再び落とし込みます。冷たかったプール、眩しかった太陽など、五感で得た感覚や感情を表現することで内面を客観視し、思考を整理する力を養います。そして自分だけの特別な経験を形に表すことで、大きな達成感や喜びを実感します。これが自己表現の土台を築く上で大切なステップになるんです。
もちろん絵を描くのは子どもたちですが、保育士にもできることがあります。言葉がけを工夫したり、新しい技法を教えてあげたりすることで、表現力をぐっと伸ばすことができますよ。
表現力を引き出す場面ごとの「魔法の言葉がけ」
例えばプール遊びを描きたいという子には、「お水を浴びたときどんな気持ちだった?」、花火を描きたいという子には「どんな音が聞こえたかな?」…。そんな具体的な問いかけが、子どもたちの記憶力を刺激し、曖昧だった思い出を鮮明にイメージ化させます。一緒に写真などを見ながら、当時のワクワク感を思い出す時間をつくりましょう。
②描いている最中に…絵の世界を広げる共感の言葉がけ
ここでは子どもの視点に寄り添い、描こうとしている世界に共感を示します。「あっ、ここからお水がシューッと出てるのね」「すごく元気な線で、楽しそうな声が聞こえてきそう!」など、具体的な描写やダイナミックな動きに着目した声かけが有効です。特に3〜4歳児は描いた後に意味を連想することも多いので、「あのね、コレ○○なんだよ」という言葉を丁寧に受け取って会話を広げていきましょう。
③描き終わったら…「また描きたい」につながる言葉がけ
完成後は、子どもがたどった「表現するプロセス」そのものを認め、自己肯定感を高めます。「この赤いところ、じわっと絵の具がにじんで面白いね」「海でたくさん走って遊んだのが、すごく伝わってくるよ」など、工夫した点や感じたことに共感し承認する言葉がけが、「また描きたい!」という創作意欲を育みます。
つい言っちゃう「上手だね」が、実は表現の妨げに…
また「何を描いてるの?」と問い詰めるような聞き方も避けましょう。描く動作そのものを純粋に楽しんでいる時期(錯画期など)の子どもにとっては、これが負担になることがあります。「花火だよ」と答えた瞬間から、描く楽しさが「ちゃんと描かなきゃ」というプレッシャーに変わるんです。
技術的な完成度を評価するのではなく、その表現に込めたプロセスや気持ちを温かく受け止めてあげましょう。
表現が豊かになる!夏のお絵かきの技法・アイデア集!
絵の具を混ぜた水を凍らせて作る「氷絵の具」は、夏のお絵かきにピッタリ。カラフルな氷を画用紙の上で滑らせると、氷が溶けて絵の具がにじんだり混ざったり…。ひんやりした感触を楽しみながらお絵かきできます。
また「フィンガーペインティング」は乳児から幼児まで、指先や手のひらを使って全身で絵の具の感触を楽しめます。感覚の発達を促すのはもちろん、思いがけずダイナミックな表現の作品が生まれることも多いんです。
②ひと味ちがう花火を…はじき絵・スクラッチアート
クレヨンで描いた線や絵の上に水彩絵の具を塗る「はじき絵」は、クレヨンの油分が絵の具をはじく現象を利用します。例えば白画用紙にろうそくや白クレヨンで「見えない花火」を描き、上から紺色の絵の具を塗ると、まるで魔法のように花火が浮かび上がります。
また「スクラッチアート」も花火を表現するのに最適。カラフルな下地の上に黒いクレヨンを重ねて塗りつぶし、それをひっかいて下地を浮かび上がらせる技法です。ひっかいた後に夜空にきらめく色とりどりの花火が現れます。
③夏の生き物が不思議な模様に…デカルコマニー・スパッタリング
紙の半分に絵の具を塗り、折りたたんで転写させる「デカルコマニー」は、左右対称のカブトムシやクワガタなどを描くのにぴったりです。
また、絵の具をつけたブラシを網などでこすって細かい霧状のしずくを散らす「スパッタリング」は、セミの羽の透明感や水辺のしぶきを表現するのに効果的。偶然生まれる不思議な模様に、子どもたちは夢中になりますよ。
お絵かきの時間を、学びやコミュニケーションの場に!
また、お絵かきの時間は豊かなコミュニケーションを生み出す絶好の機会でもあります。思い出を描きながら保育士との会話が弾めば、子どもたちから次々と新鮮な言葉があふれ出します。自分の思い出を友だちに伝え共有することで、クラスの絆も深まります。頑張って描いている様子を連絡帳で知らせたり、展示コーナーを設けたりすれば、保護者もその感動に触れることができますね。
小さな思い出も、ぜんぶ大切な経験だから!
短大の幼児教育学科を卒業後、兵庫県で私立幼稚園での幼稚園教諭からスタート。その後、大阪府北摂の公立保育所と私立認可保育所で保育士として勤務。豊富な保育経験・スキルを有する。現在は、保育学生や保育士が安心して働ける環境を実現する活動を株式会社ワークプロジェクトで実践。保育ポリシーは「保育の正解はこどもが決める」。